2020/07/06
知って得する気象・防災知識
●洪水警報と大雨警報は別の警報
洪水警報は大雨警報と同時に発令されることがよくあるため、混同しがちですが、別の警報です。洪水警報が河川の洪水・氾濫による災害の警報なのに対し、大雨警報は内水氾濫による浸水災害や土砂災害に対する警報です。洪水警報は「雨量」のほかに河川上流域で降った雨が対象区域や河川にどれくらい流れ込み、どんな影響を与えるかを数値化した「流域雨量指数」等も基準となっています。
大きな河川では、大雨警報が解除されても、上流で降った大雨の影響で洪水警報が発表され続けることもあります。雨がやんだからといっても油断せず、洪水警報や指定河川洪水予報に十分注意しましょう。

2.河川氾濫からの避難について
●明るい間に早めの避難を
台風の接近や、大雨が夜に予想されているときは特に注意が必要です。暗くなって大雨の中を避難するのは危険です。暗く見えないだけでなく、大雨で音も聞こえにくく、崩れている道路に気づくのが遅れたりして、夜中の避難中に被災することがあります。
特に災害に弱い高齢者や子供のいる家庭では、天気予報を見て、暗くなる前の昼や夕方に早めの避難をするようにしましょう。
1.自分の地域で豪雨や長雨が続いている
2.近くの川の上流で、豪雨や長雨が続いている
●垂直避難も避難方法の一つ
もし、暗くなってから避難を検討する状況になってきたら、避難中に被災することも考えて避難するかを判断してください。自宅の周辺がすでに浸水しているなど、外に避難するのが危険なときは、地下階や1階で寝ることはせず、自宅の建物内で可能な限り高いところに避難する「垂直避難」をするようにしましょう。
●感染症対策を考えた避難
自宅が安全であれば先述の「垂直避難」、親戚や知人の家が安全な場合はそこに避難する「分散避難」も検討しましょう。自治体によっては、ホテルや旅館を活用した避難も勧めていますので、自宅や職場がある自治体の最新の避難所運営マニュアル等も参考にしてください。
●河川氾濫から身を守るためのポイント
雨が降り続いて不安に思っても、川や用水路の様子を見に行かないでください。大雨のときに川や用水路の様子を見に行って被災することがよくあります。
河川の様子は、自治体などがインターネットでライブカメラや河川の水位をリアルタイムで公開していることもあります。様子を見に行かずにこれらの情報から把握するようにしましょう。不安に感じたときは、避難をするタイミングです。
1.夜に大雨が予想されているときは、夕方までに避難する
2.川や用水路の様子を見に行かない
知って得する気象・防災知識の他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方