2017/09/08
防災・危機管理ニュース
東京都は8日、「広尾病院整備基本構想」の案の公表とパブリックコメントの募集を発表した。基本構想案では7月にまとめた外部有識者などによる「首都災害医療センター(仮称)基本構想検討委員会」の報告書と意見書の通り、都立広尾病院の渋谷区の現在地での建て替え、災害対応機能の強化として、災害時は通常の倍となる約800床とする方針。臨時増床にも対応できるようあらかじめ壁や天井に医療ガスの配管も行っておく。
都心における基幹災害拠点病院である広尾病院は現在478床だが、2016年度は病床利用率が65.7%にとどまっている経営面の視点も踏まえ、約400床に縮小する。一方で現状210%程度しか使っていない容積率を上限の317%まで活用することから延床面積は増加する。災害時は院内の空いているスペースに簡易ベッドを置き、倍の約800床に増床。簡易ベッドでも重症患者に対応できるよう、普段ベッドのないスペースの壁や天井にあらかじめ酸素や空気、吸引用の医療ガスの配管を行う方針。現在の広尾病院は災害時は増床しても約600床が限界となっている。
ほかにも建物を免震とするほか、災害対策本部向けやトリアージスペース、応援医療チームの参集スペースといった必要な空間確保を行う。テロなどNBC(核・生物・化学)災害対応として専用貯水槽付きのシャワー施設を整備。現行と同等の屋上ヘリポートを整備する。外傷センターを設置し、これまで外科、整形外科、形成外科、脳神経外科が別々に提供していた外傷医療を平時から連携し一体的に提供。災害時の重傷患者の激増に備えておく。
都ではパブリックコメントを11日から10月10日まで募集。その後に基本構想を正式に決定し、11月以降に基本計画の検討に着手する。広尾病院は1980年に竣工。老朽化や首都直下地震への備えのために建て替えることとなり、2015年に閉館の同じ渋谷区青山にある「こどもの城」の土地に移転する方向で、2016年度予算に同国有地購入費用370億円が計上された。しかし経緯が不透明だとして、2016年12月に小池百合子知事が白紙の意向を示し、予算執行も停止された。基本計画で当初は2023年度に予定していた開設の新たなスケジュールのほか、災害時増床にどの程度ガス管を対応させるかなど細かな内容も決める。
小池知事は8日の記者会見で、「ベッド数の減少や整備手法の工夫など病院整備の前提を見直したことで、現地建て替えが可能になった。(移転の決定を)一旦立ち止まって見直した結果だ。公営病院としての役割をはしっかり果たす環境を整えられた」と説明した。今後、併設している看護学校や職務住宅といった病院機能のない施設の土地に、病院の移転を進めていくローリング方式で行う見込み。建て替え期間中は病院機能も縮小せざるをえないが、周辺病院との連携も行い対応する。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/09/08/01.html
■関連記事「広尾病院、現在地建て替えで決着」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3349
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方