2017/09/20
防災・危機管理ニュース

国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)が進める首都圏レジリエンスプロジェクト・データ利活用協議会は第2回シンポジウムを19日、東京・千代田区にある経団連ホールで開き、「企業が進める首都圏レジリエンス向上の試み」をテーマに、ミサワホーム株式会社、株式会社東芝、西日本高速道路株式会社の担当者が、それぞれの企業で進めているBCPの取り組みや防災に関する技術開発などを発表した。

冒頭、首都圏レジリエンスプロジェクト総括の平田直氏は「首都圏を中心としたレジリエンス向上のために欠かせない企業活動」として、「各組織が連携し、官・民・学の様々なデータと知識の活用を進めるべき」とあいさつ。「企業BCPの知恵は、首都圏の被害を減らすのに大変役立つ」とし、企業活動の重要性を訴えた。
続いて、プロジェクト統括の田村圭子氏が「首都圏レジリエンスプロジェクト データ利活用協議会の活動報告」について発表し、今年4月からの協議会活動について振り返った。田村氏は、現在94組織・団体が参画していることや、分科会の活動を通じ、様々な企業が顧客への安全・安心の提供や、事業継続へ訓練などの取り組みを行っていることを報告。その中で、自社の取り組みが十分か不安を抱える企業が多いことを説明した。
同じくプロジェクト統括の酒井慎一氏が「“デ活参画企業・組織”と地震研究における連携の可能性」をテーマに、首都圏301カ所に地震観測網を持つ首都圏地震観測網(MeSo-net)について説明。防災科研の観測網、ライフラインや交通などから寄せられる情報を集約する「官民連携超高密度データ収集」についても紹介。様々なデータを取り入れ、将来の大地震による揺れの予測にも資するということを伝えた。
企業の活動報告では、ミサワホーム株式会社技術部構造技術課長の中庄谷博規氏が「ミサワホームの取り組み」をテーマに発表。同社とKDDIが協力して開発した被災度計「GAINET」は、住宅の基礎部に設けた地震波の計測器を利用し、地震波と建物の情報を組み合わせ建物の被災度をランク付け。住民の避難判断に役立てるほか、ミサワホームのサーバーにも被災情報が送信・蓄積され、今後の地震対策に役立てられることを説明しました。
株式会社東芝研究開発センターネットワークシステムラボラトリーの佐方連氏は、「MeSO-net観測網の充実を目指した揺れデータ無線収集技術の研究開発」について最新の動向を発表した。MeSo-netの拡充を担当する同社は、省電力マルチ無線ネットワークを紹介。バッテリーと無線を利用した無線通信網を構築し、電源や通信線の敷設が不要な情報のやり取りを可能にした。端末のバッテリー交換も10年以上不要。
西日本高速道路株式会社関西支社保全サービス統括課長代理の橋本啓氏は「BCPに基づく防災拠点検討型防災訓練の実際」と題して報告。9月1日に実施した、防災訓練では、大阪府を中心とした上町断層帯地震が起こったと想定し、大阪府吹田市の同社施設に災害対策本部を設置。気象モニターや統合モニター、東日本や中日本など他地域の情報も含んだ広域モニターを活用した情報整理や復旧活動の訓練を行った。

パネルディスカッションでは、「デ活:今後の活動の可能性」をテーマに、各登壇者に京都大学防災研究所・教授の牧紀男氏が加わり、MeSo-netの今後の広がりや災害時における生活・事業継続などについて、意見を交した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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