訪日外国人の3分の1が中国人観光客(写真:写真AC)

日本政府は、2003(平成15)年小泉純一郎総理(当時)が「観光立国懇談会」を主宰したことをきっかけとして、同年4月より「ビジット・ジャパン事業」を開始しました。そして2015(平成27)年6月に「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を策定し「(訪日外国人旅行者数)2000万人時代を万全の備えで迎え、2000万人時代を早期実現する」ことを発表しています。

さらに、2020年東京オリンピック開催を機に日本が観光立国として力強い経済を取り戻すことを目標に定めることになり、観光庁は少子高齢社会に突入した日本がさまざまな課題をこれにより解決していくのだとしています。

以下は、観光庁の公式サイトからの抜粋です。

観光は、我が国の力強い経済を取り戻すための極めて重要な成長分野です。
経済波及効果の大きい観光は、急速に成長するアジアをはじめとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域活性化、雇用機会の増大などの効果を期待できます。さらに、世界中の人々が日本の魅力を発見し、伝播することによる諸外国との相互理解の増進も同時に期待できます。
訪日観光の振興と同時に、国内旅行振興も重要であります。そのため、地域が一丸となって個性あふれる観光地域を作り上げ、その魅力を自ら積極的に発信していくことで、広く観光客を呼び込み、地域の経済を潤し、ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる、活気にあふれた地域社会を築いていくことが観光立国には不可欠です。

しかし、残念ながら56年ぶりの東京オリンピックはCOVID-19の前に延期を余儀なくされ、年間訪日客2000万人という目標も「絵に描いた餅」と化してしまいました。これは誰も予想しなかった出来事でしょう。

■2019年度訪日外国人の1/3が中国人観光客

2019年度の訪日外国人総数は3188万人超(写真:写真AC)

JNTO(日本政府観光局)の統計によれば、2019年度の訪日外国人総数は3188万人を超えています。そして、その約1/3が中国籍の外国人だというのですから、その影響たるや大変なものです。まさしく中国人訪日客がドル箱だといわれるゆえんです。

さて、しかしです。果たして日本のインバウンド体制はどうだったでしょうか?そこに対する検証はこれまでに行われてきたのでしょうか?刻々と変化する訪日客のニーズにどれだけ日本国内の受け皿が対応できていたかを、今一度確認しておく必要はないでしょうか?

なぜなら「爆買い」と言われた第一波中国人観光客は減少し、新たな次元の「物より体験」を望む人々へと変化を遂げているからです。