2020/08/19
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■地に足がつかない地方自治体のインバウンド
さて、外国から訪日客を呼び込むのに、各自治体はどんなことをしているのでしょうか?実際に、上海に出張所を開設しているある自治体の実態を紹介しましょう。
日本から専属のスタッフ(多くは自治体の公務員としてではなく、何らかの企業に出向したかたちで)が現地に派遣されていることが多く、だいたい2人くらいが単身赴任しています。そして上海市内に事務所を構え、現地人スタッフを雇い入れ、対外フロント組織としての活動を行なっています。
しかし、残念ながらどんなに長くても彼らの任期は3年、短い場合は毎年代わる自治体もあるようです。そうなると、事務所を実際に運用しているのは現地で雇用された日本語の上手な中国人スタッフということになります。
当然、雇用期間が長くなるほど実務は任せられ、事情に通じているとなれば、各自治体のインバウンド政策を具体化するときには、彼、彼女の知り合いやコネクション、袖の下を使って営業をかけてくる業者が重宝されることは間違いないことでしょう。
そうして、地方自治体の「予算」の一部は消費されていくことになるのです。もちろん、それは仕方ない経費だという考え方もあるでしょう。しかし、筆者のように裏の世界を見てきた者からすれば、あまりにも多額の資金が不必要に消費されていることに気づくのです。
では、どうすべきなのでしょうか?
中国でも大都市になれば、各自治体出身の日本人駐在員や現地採用日本人、さらにはその自治体に本社がある企業もあります。もっと、彼らの善意に期待すべきだと感じています。もちろん、それぞれが自分の仕事を持ち、生活の糧を得るのに忙しいことは間違いありませんが、愛郷心のある人たちだからこその熱心さがそこにはあります。彼らとしても、貢献したい気持ちは強く、機会さえあれば動きますというのが本音なのです。
自治体としても、せっかく税金で賄っている予算であるならば、中国現地で頑張っている企業や日本人にそれを使ってもらうのが筋ではないでしょうか?そうすることで、インバウンドの機運も高まり、地方自治体が行っている活動にも積極参加する風潮が出てくることと信じます。
残念ながら、そのような立体的かつ多面的な活動を推進している自治体は多くありません。一旦休止を余儀なくされた今だからこそ、もう一度政府主導のインバウンド政策に我々日本人たちがどう関与し、より大きな「地域活性化」「雇用機会増大」の効果をもたらすかを考えるチャンスではないかと思います。
このままでは、日本が本来享受すべき利益が不必要に別のところに流れてしまうリスクが避けられないことでしょう。
日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方