2017/10/31
オフィスの防災対策を見直せ!
外部協力を充実へ
都でも備蓄や受け入れ施設の確保については手をうっている。水、食料、簡易トイレ、毛布またはブランケットいった帰宅困難者向け備蓄品の購入について、条件を満たせば購入費用の6分の5の都による補助を2013年度から実施している。
交付対象となる施設は、都内区市町村と帰宅困難者受入協定を締結していること、従業員向けの3日分の備蓄品を完備していること、BCP(事業継続計画)か防災計画を策定していることが条件。
補助対象備蓄品は、まず都が指定する備蓄品である水(1人1日当たり3L)、食料(同3食)、簡易トイレ(同5個)、毛布またはブランケット(1人当たり1枚または1個)。この4品目が完備されていれば都の推奨備蓄品であるマット(シート、寝袋、付属品含む)、おむつ、生理用品、救急セットの購入も補助対象となる。指定備蓄品の一部の備蓄が完了している場合、指定備蓄品と推奨備蓄品を組み合わせた購入でも補助対象となる。
補助金額は1人当たり3日分の購入費用の6分の5。経費の上限は9000円のため、1人当たりの補助金上限額は7500円。
一時滞在施設についても池袋駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅、東京駅の5つの主要ターミナル駅から半径2.5kmにおいて、帰宅困難者を受け入れる民間施設が受け入れスペース、防災備蓄倉庫、非常用発電機、貯水槽の整備を行う際の3分の2の補助を7月から募集開始した。
補助要件は、大規模災害時に100人以上の帰宅困難者を受け入れる協定を区と締結すること、前述の5駅からおおむね半径2.5km以内であること、通常在館者と帰宅困難者が3日間滞在できる備蓄品の保管倉庫を確保すること。
補助の対象となる設備は1.受け入れスペース2.防水備蓄倉庫3.非常用発電機4.貯水槽。補助金額は補助対象経費の3分の2。ただし、帰宅困難者の受け入れ人数に10万円を乗じた額と補助対象経費の3分の2と比較して、小さい方の金額を上限とする。
9月に大きな動きもあった。東京都宗教連盟が寺社など都内約4000カ所の宗教施設の一時滞在施設としての提供を小池百合子知事に申し出た。小池知事も「申し入れは心強い」と歓迎。具体的な取り組みはこれからだが、基礎自治体である区市町村と宗教施設との協定が順調に結ばれ、すべての宗教施設が帰宅困難者を受け入れることになれば、利用できる施設は現状の5倍以上となる。
公立小中学校は住民の避難所になり、帰宅困難者向けの施設としては区民センターなどの利用を見込むが、都や区市町村の公的施設では限界がある。管理者免責や負担減などの問題を解決し、受け入れ先を増やす施策が喫緊の課題である。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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