衣服内の温度や位置情報などの通信が可能で、火災現場や消防本部などの管理システムにリアルタイムで送信できる

帝人(本社:大阪市北区)は2日、「消防機能向上への取り組み」の一環として、ウェアラブルデバイスを内蔵した「スマート消防服」を開発し、熱中症リスク予知に成功したと発表した。消防隊員が身に着けている衣服内の温度や位置情報などの通信が可能で、火災現場や消防本部などの管理システムにリアルタイムで送信できる。共同研究先である大阪市立大学が大阪市消防局とともに行った実証実験データを分析した結果、深部体温の予測による熱中症リスクの予知に成功。熱中症リスクの予知や管理を行うシステム構築が可能になる。

帝人グループでIT事業を展開しているインフォコムと共同開発した、名刺ケースサイズのセンシングデバイスを内蔵。このデバイスによって、火災現場や消防本部などの管理システムに消防隊員のデータをリアルタイムで送信ができる。熱中症リスクを予知する手段としては心拍測定が一般的だが、その測定値は着用者の体格や身体活動量のほか、精神状態などにも大きく影響を受ける。より正確に熱中症リスクを予知する方法として、「スマート消防服」から送信される着用者の衣服内温度の情報から、熱中症に直結する深部体温を予測するアルゴリズムの作成に取り組んだ。

アルゴリズムの検証にあたっては、大阪市立大学が大阪市消防局の協力を得て、火災訓練現場や大阪市立大学の人工気候室において、20~50代までの消防隊員による実証実験を実施。火災環境における消防隊員の衣服内温度から予測した深部体温と深部体温の実測値が極めて近い結果となることを実証し、データの解析により深部体温の予測式やアルゴリズムを見出した。

消防服の素材は、同社が防護衣料向けに展開している、長期耐熱性や難燃性のあるメタ系アラミド繊維「コーネックス」、高強度のパラ系アラミド繊維「テクノーラ」などを使用。センシングデバイスの筐体(きょうたい)には難燃性や耐衝撃性のあるポリカーボネート樹脂「パンライト」を使用している。

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https://www.teijin.co.jp/news/2017/jbd171002_42.html

(了)

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リスク対策.com:横田 和子