(写真:イメージ)

□事例:投融資にESGを考慮

国内最大の保険会社であり世界でも有数の機関投資家である日本生命保険が、2021年4月より全ての投融資の判断に、企業の環境問題や社会貢献への取り組みなどを考慮した「ESG」の考え方を採用すると公表しました。同社は既に、株式や社債、海外融資についてはESGを考慮した運用をすると表明していましたが、これまで対応していなかった国債や国内融資、不動産にもカバー範囲を広げ、全資産をESG目線で審査することにしたのです。

ESG投資とは、投資先企業の選定プロセスに、売上高や利益などの財務情報といった従来からの尺度だけではなく、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)などの非財務情報も投資判断に組み入れる投資手法を言います。財務情報といった目に見える価値だけではなく、環境や社会に対する取り組みや、地域社会への貢献度といった目に見えない価値に着目し、これらの取り組みに優れている企業は、長期的に企業価値が高まる可能性が高いとの考えに基づき、収益を追求する投資の方法です。日本生命では、独自に策定した評価基準を用い、経営の透明性や持続可能性の高い企業などへの投資を増やすことで、利回り向上とリスク低減を目指すと発表しました。

地方の中小企業A社で財務を担当しているBさんは、このニュースに大きく注目しています。Bさんの企業は上場企業ではありませんので、機関投資家の投資対象になることはありませんが、取引先に上場企業が多く、今後の取り引きの継続に当たってはA社のESGの取り組みが取引先から強く要請されることになるかもしれないと考えているためです。A社の次の経営会議でBさんはこのニュースを議題として取り上げ、A社のESGへの取り組みを加速するための提言を行おうと思っています。そこで、考えられる影響とそのための対策などを取りまとめようとしています。