2017/12/12
防災・危機管理ニュース

東京都は11日、今年度の「東京港テロ対策合同訓練」を中央区の東京港晴海客船ターミナルと付近の海上で実施した。都港湾局のほか警視庁や東京消防庁、海上保安庁、東京税関、東京入国管理局などから約60人が参加。監視用の1隻を含めた船8隻と海保のヘリコプター1機も出動させた。東京2020年オリンピック・パラリンピックに向け陸上で外国人テロリストの入国阻止、海上では奪った小型ボートに乗った銃を持つテロリストの制圧といった訓練を行った。

陸上では晴海ふ頭に着岸したクルーズ船に国際テロリストがまぎれこんでいるという設定。入国管理局と税関の審査により、入国審査中の乗客の1人が偽造パスポートを持ったテロリストであることが判明。さらにもう1人いた刃物を持ったテロリストも含めた2人を入国警備官が制圧した。また、警視庁の警備犬により爆発物検索と、爆発物処理班がマジックハンドで専用の筒に不審物を入れる爆発物処理を行った。またこの間に避難誘導中の外国人乗客が負傷。五輪を見据えて新設された東京消防庁の外国語対応救急隊が英語でコミュニケーションをとった後、負傷者を搬送した。

海上は不審な小型ボートを警察、税関、海保の船が追跡。海保のヘリが風圧で小型ボートの進路を阻んだ。さらに小型ボートから自動小銃が発射されたとして、海保巡視船からの正当防衛射撃訓練のほか、海保のゴムボート2隻が小型ボートを挟み撃ちにし、テロリストを制圧する訓練を行った。
晴海客船ターミナルは五輪選手村予定地に隣接している。今回の訓練は海と陸が連携した水際でのテロリストの入国阻止のためのものだが、大会を控え、海からの選手村の攻撃も警戒する必要がある。2016年、国や都など官以外に船舶会社や工事業者も含めた「東京港海上防犯協議会」を設置。今後も官民で東京港のテロ対策を推進する。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方