海保のゴムボートから隊員がテロリストの小型ボート(中央)に乗り込み、制圧した

東京都は11日、今年度の「東京港テロ対策合同訓練」を中央区の東京港晴海客船ターミナルと付近の海上で実施した。都港湾局のほか警視庁や東京消防庁、海上保安庁、東京税関、東京入国管理局などから約60人が参加。監視用の1隻を含めた船8隻と海保のヘリコプター1機も出動させた。東京2020年オリンピック・パラリンピックに向け陸上で外国人テロリストの入国阻止、海上では奪った小型ボートに乗った銃を持つテロリストの制圧といった訓練を行った。

押さえ込んだテロリスト(右)以外に刃物を持った別のテロリスト(左)にも対応する東京入国管理局の警備官

陸上では晴海ふ頭に着岸したクルーズ船に国際テロリストがまぎれこんでいるという設定。入国管理局と税関の審査により、入国審査中の乗客の1人が偽造パスポートを持ったテロリストであることが判明。さらにもう1人いた刃物を持ったテロリストも含めた2人を入国警備官が制圧した。また、警視庁の警備犬により爆発物検索と、爆発物処理班がマジックハンドで専用の筒に不審物を入れる爆発物処理を行った。またこの間に避難誘導中の外国人乗客が負傷。五輪を見据えて新設された東京消防庁の外国語対応救急隊が英語でコミュニケーションをとった後、負傷者を搬送した。

テロリストの小型ボート(右)を追う海保のゴムボートと巡視船

海上は不審な小型ボートを警察、税関、海保の船が追跡。海保のヘリが風圧で小型ボートの進路を阻んだ。さらに小型ボートから自動小銃が発射されたとして、海保巡視船からの正当防衛射撃訓練のほか、海保のゴムボート2隻が小型ボートを挟み撃ちにし、テロリストを制圧する訓練を行った。

晴海客船ターミナルは五輪選手村予定地に隣接している。今回の訓練は海と陸が連携した水際でのテロリストの入国阻止のためのものだが、大会を控え、海からの選手村の攻撃も警戒する必要がある。2016年、国や都など官以外に船舶会社や工事業者も含めた「東京港海上防犯協議会」を設置。今後も官民で東京港のテロ対策を推進する。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介