【パリ、ロンドン時事】スターマー英首相とフランスのマクロン大統領は10日、ロンドンで会談し、ロシアの軍事的脅威に対抗するため、核抑止力に関する2国間協力を強化することで合意した。合同組織「英仏核運営グループ」を設置し、戦略、能力、作戦の各分野で連携を深めていく。
 北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州各国は米国の「核の傘」に守られてきた。しかし、トランプ米大統領は欧州防衛に消極的だ。このため、欧州では核保有国である英仏の抑止力に期待が高まっている。
 会談後に発表された英仏首脳声明は、欧州が「極度の脅威」に直面すれば、両国による対応は不可避だと指摘。「われわれの核戦力は独立しているが、協調が可能だ」と明記した。英仏は以前から核抑止力で連携しているものの、ここまで踏み込んだ表現を使うのは初めて。
 マクロン氏は共同記者会見で「これはパートナー国と敵対国へのメッセージだ」と発言。欧州の不安を和らげ、ロシアをけん制する狙いがあると認めた。スターマー氏は「(英仏)関係の重要性をこれ以上示すものはない」と意義を強調した。 
〔写真説明〕10日、ロンドンの首相官邸で会談するスターマー英首相(左)とフランスのマクロン大統領(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)