外国の運転免許を日本の免許に切り替える「外免切り替え」制度について、警察庁は10日、申請時に原則として住民票の提出を義務付ける道交法施行規則改正案を公表した。改正後は、外国人観光客などの短期滞在者は切り替え手続きができなくなる。
 また、切り替えのための試験も、交通ルールを問う「知識確認」で50問中9割以上正解しないと合格できないなど難しくする。意見公募を経て、いずれも10月1日から施行する予定。
 外免切り替え制度は1933年に始まり、海外に住む日本人が一時帰国中に国内で運転する際などに用いられてきた。近年は外国人の利用が急増し、2024年の利用者は6万8623人と15年比で約2.4倍に増加。制度を使った外国人による交通事故も起きており、審査の厳格化を求める声が出ていた。
 改正案は外交官やプロレーサー、在日米軍人などを除き、申請書類に住民票の写しの添付を義務付ける。現在はパスポートと、ホテルや知人宅を住居とした「一時滞在証明」の組み合わせでも申請できるが、今後は認めない。3カ月以下の短期滞在では住民票が交付されないため、政令で認めた一部の国以外の観光客は国際免許証がないと運転できなくなる。
 免許の更新時にも住民票や、住民登録がないと発行されない在留カードなどが必要となる。在外邦人は戸籍謄本などで身元を確認する。
 試験内容も見直し、「知識確認」は問題数を50に増やし、交通法規の各分野を漏らさず出題。特に飲酒運転や事故対応などについては、必ず出題するよう各公安委員会に通達する。合格基準も90%以上に引き上げた。
 現在は○×式で、10問中7問正解すると合格する。受験者の9割超が合格しており、「簡単過ぎる」と批判があったほか、網羅できない範囲があることが課題だった。
 試験のうち、知識確認後に実施する「技能確認」は、より安全性を高める内容に変更。課題に横断歩道や踏切の通過を追加するほか、運転中の合図や右左折の手順などをより厳しく審査する。 

(ニュース提供元:時事通信社)