2018/01/12
防災・危機管理ニュース

消防庁は9日、「消防団員の確保方策等に関する検討会」の検討結果を報告書として公表。この中で大規模災害時に不足する消防団員の人員確保のため、新たに導入を促進する「大規模災害団員」の枠組みを例示した。
消防団は近年役割が増加、多様化する一方で、団員の減少が進んでおり、団員の確保や民間の自主防災組織などとの適切な役割分担と連携を模索している。
「大規模災害団員」は、大規模災害時に限り出動する。例えば風水害で被害が広範囲におよび、避難勧告の発令や避難所開設等が必要な場合。また地震・津波では、震度5以上で津波警報が発表され、避難所開設が必要な場合など。
活動内容は大規模災害時に新たに業務が生じる場合に限定。基本団員が消火、救助、警戒活動等を集中して行う間に、それ以外の災害情報の収集、報告、住民への伝達や避難誘導・安否確認、避難所運営支援などの活動を担う。このほか重機を活用した啓開活動やドローンやバイクを活用した情報収集活動、水上バイクを活用した水難救助活動など、民間で所有する資機材を活用した活動なども想定する。
活動は大規模災害時に限るため、基本団員より低報酬だが、出動手当や公務災害補償は団員と同等に受けられる。
消防庁は今月中にも都道府県を通じて全国の各地方自治体に検討会報告書の内容を通知する予定。これを受けて各自治体は大規模災害のリスクや現状の団員数など各地域の状況を踏まえて、条例に位置付けるかを判断する。
■ニュースリリースはこちら
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/01/300109_houdou_1.pdf
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
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