2018/01/31
直言居士-ちょくげんこじ
ヘリコプターほど大がかりでなく、地割れなどで足を運べないところでも空撮できることから災害時の活用が進むドローン。最近は労働の現場での危険な作業の代替といった需要も出ている。2015年10月設立のブイキューブロボティクスではドローンが地方自治体の訓練にも活用され、存在感を広げている。同社の出村太晋(でむら たいしん)社長に話を聞いた。
仙台市で津波の不安ない避難誘導も
ブイキューブロボティクスは2015年10月にテレワーク事業などを手がけるブイキューブの社内ベンチャーとして設立。現在は独立したドローンソリューション企業となっている。飛行中のリアルタイム映像伝送などを提供してきた。出村社長によると「多数の拠点での同時共有ができ、多数の会場に分かれた訓練や会議で便利」という。さらには基地を設け、この基地をハブにサービスを展開するという独特の運用を展開している。基地には1.2m四方のドローンボックスを設け、ここに着陸したドローンは自動で充電を実施。ドローンボックス着陸後はクラウドサーバーと画像などデータリンクも行う。離着陸も自動。複数のドローンの同時運用も可能となっている。
業務活用のイメージとしてはインフラ点検、防犯・警備、農業、防災が主に挙げられる。インフラ関連では高圧線など高所で危険な場所、メガソーラーなど広い場所の点検に向く。画像データを活用し、造船工場での工程管理に用いられるケースも。大きな造船の現場でも隅々まで見ることができる。石油コンビナートでは事故があった際の一次情報把握としてドローンが飛ばされ、安全に状況を確認できたという。
出村社長は「ドローンで効率化、高度化に加え安全性の向上もできる。先進技術はこれまでの労働環境を抜本的に変えることができる」と自信をみせる。
防災では2017年に仙台市の実証実験に参加。沿岸地域にドローンを飛ばし、避難の呼びかけのアナウンスを行うというもの。アナウンスの担当者は津波の届かないところから声を出し、ドローンを通じて沿岸にいる人たちに呼びかけを行う。これまでのように危険なエリアまで広報車を出したり、津波が来そうな放送設備にいたりする必要がなく、安全に呼びかけることが可能。仙台市は将来的な導入を念頭に実験・検討を進めている。
ほかにも仙台市では2016年にスキー客の遭難を想定したドローンによる捜索支援の実証実験も実施。119番通報が入ると携帯電話のGPSを使い遭難者の位置情報を特定。ドローンがそこに向けて飛び立ち、映像をリアルタイムで捜索隊に送りながら救助に役立てる。日没後でもサーマルカメラで撮影は可能。さらにスピーカーを通して遭難者への呼びかけも行う。
2011年の東日本大震災では避難を呼びかける際に、津波で犠牲者が出たことも記憶に新しい。「ドローンを通じた社会貢献を進めたい。アナウンスのために沿岸地域に行く人がいないだけでも災害時の安全・安心につながるはずだ」と出村社長は熱く語った。災害時はドローンの持つ情報伝達の即時性以外に安全性を訴求する。
利用価格は機体・カメラ・アプリケーションなどの構成にもよるが、最低月額15万~100万円程度の幅となっており、要望に応じて閉域型で売切りで提供することも可能になっている。
■ホームページはこちら
https://www.vc-robotics.com/
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- ドローン
- ブイキューブロボティクス
- 仙台市
- 津波
直言居士-ちょくげんこじの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方