OKRを応用した新たな管理手法「OTD(Objectives & ToDo)」
第6回:複合災害対策本部の組織マネジメント

林田 朋之
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等の BCPコンサルティング業務に携わる。現在はプリンシプル BCP 研究所所長として企業のコンサルティング業務や講演活動を展開。著書に「マルチメディアATMの展望」(日経BP社)など。
2021/03/04
企業を変えるBCP
林田 朋之
北海道大学大学院修了後、富士通を経て、米シスコシステムズ入社。独立コンサルタントとして企業の IT、情報セキュリティー、危機管理、自然災害、新型インフルエンザ等の BCPコンサルティング業務に携わる。現在はプリンシプル BCP 研究所所長として企業のコンサルティング業務や講演活動を展開。著書に「マルチメディアATMの展望」(日経BP社)など。
前回の投稿では、災害対策本部をウェブ上で構築・運用する方法として、災害ポータルサイトの活用について説明しました。今回は、その災害ポータルサイトを活用してテレワークされた複合災害対策本部全体の組織的なマネジメントをテーマにしたいと思います。
Googleなど外資系IT企業が主に導入して成果を出している組織マネジメント手法のOKR(Objective & KeyResults)は、働き方改革によるジョブ型への移行や個人の目標管理を全社的目標と関連付け、あいまいさを極力排除してデジタルな数値設定を行うことにより、テレワークにフィットする有用なフレームワークとして日本でも導入する企業が急速に増えています。
従来の大部屋での対策本部運営では、組織マネジメントという発想があまりありませんでした。しかし、テレワークされた複合災害対策本部では、情報収集にあたっている各個人(担当者)や各グループを、組織として機能させる必要が出てきます。すなわちOKRは、テレワーク複合対策本部の組織マネジメントにも有用ととらえることができます。
ただし、本来のOKRとは異なり、対策本部は経営的な「成長」よりも素早い「復旧」に焦点があたるため、達成目標としてのKeyResults ではなく、実施しなければならない ToDo が基本となります。
以下、目標の設定方法はOKRを踏襲しながらも、KRをToDoに変えることで、新たな(私の造語として)OTD(Objectives & To Do)の概要についてご紹介していきたいと思います。
OTDは、まず複合災害対策本部の目標とToDoを定義することで、それが配下の各グループ、各担当者につながり、組織全体として一つの方向(Objectives)を目指す枠組みとして機能します。「対策本部全体」「グループ」「担当者」の3つの階層それぞれに目標と具体的行動が連動して定義されるため、組織全体のマネジメントが実施されるというわけです。
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