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かつて本連載で、BSI(British Standard Institution:英国規格協会)が2017年に発表した「Global Supply Chain Intelligence Report」という報告書を紹介させていただいたが(注1)、サプライチェーン・マネジメントはBSIが従来から注力している分野の一つであり、「BSI Connect SCREEN」というサプライチェーン・リスク管理プラットフォーム(注2)を提供するために、200カ国以上を対象として継続的に情報を収集、蓄積、分析している。

今回紹介させていただく「Supply Chain Risk Insights Report 2021」は、そのような基盤を持つBSIが毎年発表しているもので、今年は2021年5月に発表されている。下記URLにアクセスして、氏名やメールアドレスなどを登録すれば、無償でダウンロードできる。
https://www.bsigroup.com/en-GB/our-services/consulting/supply-chain-risk/supply-chain-reports/
(PDF 56ページ/約16.4 MB)

本報告書は次の8つの章(Chapter)から構成されている。

1)世界的なリスクの予測に関する要約(Summary of forecast global risks)
2)貨物盗難の傾向(Cargo theft trends)
3)移住の傾向(Migration trends)
4)薬物密輸の傾向(Drug smuggling trends)
5)人為的な途絶の傾向(Man-made disruption trends)
6)事業継続の計画(Business continuity planning)
7)食品に関する不正や安全に関する傾向(Food fraud and safety trends)
8)規制変化の傾向(Regulatory change trends)

恐らく当サイトにアクセスされる方々の多くは、災害対策もしくは事業継続に関連する仕事をされている方々だと思われるので、サプライチェーンのリスクというと、主に災害、盗難、輸送中の事故、紛争やテロ、暴動やストライキなどが思い浮かぶのではないか。しかし上のリストからお分かりいただけるように、本報告書では移住(主に不法移民)や薬物密輸、食品に関する不正(主に食品偽装)など、広範囲にわたって調査された結果がまとめられている。