2016/09/05
誌面情報 vol52

災害時に使える通信機器について、代表的なものを紹介する。東日本大震災以降、どれも使いやすく、小さく進化しているのが印象的だ。もし、3.11直後に導入しているものがあれば、新しいアイテムを検討してみてはいかがだろうか。取材を通してわかったことは、どれも災害時に「確実につながる」保証はない。地域特性やオフィスの状況に合わせて最適なものを、できれば複数種類用意する。そして「誰に何を伝えるか」を明確化し、訓練を通じて実効性を検証することが重要となる。通信手段確保のみに特化した訓練を開催するのも有効な手段の1つと言えるだろう。
編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年11月25日号(Vol.52)掲載の記事を、Web記事として再掲したものです。(2016年9月5日)
1.衛星携帯電話
災害時通信の必須アイテム。最近はさらに小さく、薄くがトレンド。Wi-Fi対応によりスマホアプリで話せるものも
特徴
理論上は、地上がどのように破壊されても通じるのが衛星携帯電話。東日本大震災を受け、多くの会社が導入している。最新機種はどこでも持ち運べるように小型化、軽量化しているのが特徴だ。最近では「衛星Wi-Fiルータ」も出現。衛星からルータが電波を受け取るため、普段使っているスマホにアプリをインストールし、衛星携帯電話として使用することができる。iPhoneに装着するタイプもあり、今後のさらなる進化に注目したい。日本国内では使用する衛星サービスによってインマルサット、イリジウム、スラーヤ、ワイドスターの4つに分類される。
課題
どのキャリアも衛星を捕捉する必要があり、使うには訓練が必要。基本的にはビルの屋上など見通しのいい屋外でしか使えないと思った方が良い。都心では衛星方向に高層ビルがあれば屋上でも使えないことも。通信費用は各社横並びだが、通話料は通常の携帯電話に比べてかなり割高となっている。
取扱事業社:NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、日本デジコムなど

2.MCA無線
普段使いにも適する、全国通信が可能な業務用移動通信システム
特徴
全国8地域に114の中継局を持ち、業務用無線として北海道から沖縄まで全国通話ができる。阪神・淡路大震災から東日本大震災まで、どの災害でもほぼ正常に稼働した強い実績を持つ。1対多の一斉同報通信機能や限られたグループ内のみでの通信ができるほか、オプションでGPSも装備することができ、運送会社の運行管理や工場内でのコミュニケーションなど、普段使いにも適している。通信費用は月々定額で、割安感がある。
課題
使い方自体は単純だが、携帯電話のように一見して使えるものではないので利用には訓練が必要。通信チャンネルを共用するため通話時間は3分に制限されているが、結果として輻そうにも強くなっている。全国通話が可能だが、一部地域では中継局がなく使えない場所もあるので注意が必要だ。郊外に工場がある場合などでは必ず近くに中継局があるか確認した方が良い。
取扱事業社:エムシーアクセス・サポート

おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方