2018/04/13
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
子どもは遊びの天才!オリジナルの遊びをどんどん作ります
また、この「山ほどある」話と同じ話をしてくれたのが、NPO法人「コドモ・ワカモノまちing」代表理事の星野 諭さんです。星野さんたちは、東日本大震災の際に、石巻のこどもたちの支援に入っていました。コドモ・ワカモノまちingでは、移動式プレイトラックの中に遊び道具を積み込み、街ごと遊び場にしてしまう活動をされています。

通称かんちゃんというプレイトラックに入っているものは、こんなに。大人もワクワクする 子どもの遊び場ですよね!
そんな遊び場を被災地で作ったところ、やはり、見守っていたお母さんが泣いていたそうです。震災後6か月間、ごはんの時も、寝る時も、トイレに行く時も、怖がって一度もおかあさんの手を離さなかったこどもが、その遊び場にきて、初めて手を離したのであまりに嬉しくて泣いているとのことでした。

遊びが子どもたちにとって重要である事、イメージしていただけたでしょうか?では次に、具体的にどんな遊び場が今まで作られていたかご紹介します。
こちらの日経新聞記事では、東日本大震災や熊本地震で積極的に子どもの遊び場作りの支援を行なってきたNGOセーブザチルドレンの事や地域の方が関わった事例が記載されています。
■避難所に子供の遊び場 支援グループ「ストレス軽減」
(日経新聞 2016年4月25日付)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H1B_V20C16A4CC0000/
こちらは動画です。こどもたちにとって遊び場が大切な事が見ていただけるとわかります。
「子どもたちの心をケア避難所に遊び場や映画館」/ANN (出典:Youtube)
また、遊びというと、おもちゃが必要なのでは?と思うのが大人の発想ですが、遊びの天才でもあるこどもたちは自分たちで工夫して遊びを創り出す事ができます。私も野外で石を積み上げるだけで1日過ごせる子どもたちを見てきました。だから、子どもの遊び場を確保するといっても、たくさんおもちゃを準備しなければならないなんて大変・・とは思わないでくださいね!
先ほどご紹介した星野さんが入っていた石巻の避難所でも、子どもたちは「遊びのお宝」を集めて、好き勝手に遊んでいたそうです。それは、大人でいうところの「ガレキ」でした。子どもたちは、名前がついてないオリジナルな遊びをその場でどんどん創り出す力があり、その力を発揮する中で、自分を癒していくのですね♪
そんな星野さん、被災した時だけではなく、普段の生活でも名も無い遊びを大人が大切に見守れるよう「#ダカラちゃんの365日あそび」の監修もされています。


子どもの頃、これだけで楽しい遊びだったなあ、こんな発想もあるんだ・・なんて眺めていただくと、災害時の子どもの遊び場のイメージも、子供目線になってハードルが下がるかもしれません!
という事で、避難所に子どもたちの遊び場の確保する重要性について共感していただけたでしょうか?また、遊びといってもすぐ取り組めるものがたくさんあるから、ハードルは高くはないという事も共感してくださる大人の方が増えればいいなと思っています!
さらに、子どものニーズはこんなにも特徴のあるものとわかっていただけると嬉しいです。なぜか防災の世界では、未だに「女性と子ども」がセットであることが多いのです。でも、こんなにもニーズが違うから、セットにしないほうがいいかもと感じていただける方も増えたらいいなと思っています!
避難所に子どもの遊び場を!みなさんの地域でもご検討ください!
(了)
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