2018/05/18
防災・危機管理ニュース

国土交通省は17日、東京商工会議所と防災力向上のための連携・協力で協定を締結した。国交省が防災で経済団体と協定を結ぶのは初めて。意見交換会などを通じて政策に生かすほか、BCP(事業継続計画)も含めた企業防災の取り組み推進に努める。
東商の会員企業は約7万8000社。東京は首都であるほか経済の中枢であり、さらに災害リスクでは荒川が氾濫する最大規模の洪水で約126万人が被災、首都直下地震では約2万3000人の死者が出る可能性もある。会員企業の防災対策を通じて東京の防災力向上を図る。
6月をめどに意見交換会を行い、今後の防災・減災政策を議論するほか、企業の防災の取り組み促進へセミナーを7月に開催する。災害リスクのほか堤防などのインフラの重要性を知るための現地視察会も今後実施する。
東商では機関紙なども通じ、首都直下地震や洪水といった災害リスクについて会員企業に対し周知を進める。また自助や共助の拡大へ国交省との連携のほか、リーダー的役割を果たせる人物の育成を図る。帰宅困難者対策やいざという時のための広域避難計画の検討も進める。
BCPについては2017年の調査で会員企業の策定率は27.4%、水害BCPは4.8%にとどまっている。東商では策定のほか、策定後に計画の内容を実施できるよう、訓練も含めた普及支援に取り組む。
17日に千代田区の国交省防災センターで行われた締結式で国交省水管理・国土保全局の山田邦博局長は「雨の降り方が最近変化しており、ハード・ソフト一体となった防災施策が重要だ。ソフト対策は様々な関係者との協力が犠牲を防ぐこととなる。今後東商と寄り添って強い首都・東京へ防災力向上に取り組みたい」と述べた。東商の災害対策委員会の山田隆持委員長(NTTドコモ顧問)は「協定締結を契機に会員企業の防災対策を強化し、ひいては東京の防災力向上へ国交省と協力して取り組んでいく」と説明した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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