2018/06/06
ニュープロダクツ

AOSリーガルテックは、機密情報を専用にクラウドサーバで安全に共有できるサービス「AOSデータルーム」の最新版4.0を開発、5月30日に東京都内で製品発表を行った。機密性が求められる情報を社内・社外の関係者と安全に共有するクラウド型サービス。これまで海外ベンダーがM&Aの用途で提供していたが、日本企業のニーズに応え操作性と安全性を高めたサービスとして機能を追求した。M&Aの資産調査だけでなく、研究開発・特許関連・訴訟関連など、あらゆる業種で社内外の関係者と機密情報をデータ共有できるビジネスツールとして訴求を目指す。
「DR(データルーム)」はもともと企業間でM&Aの資産査定(デュー・ディリジェンス)を行う際、一室を締め切って管理したのが起源。2000年以降、クラウド技術を活用してオンライン上で機密情報を共有・管理できる「VDR(バーチャルデータルーム)」サービスとして海外ベンダーが提供を開始している。
AOSはこれまで提供してきたデータ復旧・消去、デジタル・フォレンジック、リーガルテックツール販売などを手がけてきた経験を活かし、日本企業のニーズに応えたVDRサービス「AOSデータルーム」を2017年9月から提供開始。今年4月25日に最新版4.0をリリースしている。
「AOSデータルーム」はドラッグ・ドロップ機能を備えた直感的なインターフェイスにより、メールのような操作で誰でも簡単にドキュメントやフォルダを共有できる。ファイルバージョンが視覚的にわかりやすく、ユーザーに応じた細かいアクセス権限を付与。組織外ユーザーとも厳格なユーザー管理のもとで共同作業ができる。検索機能はファイル名・全文検索のほか、OCR(光学文字認識)機能により紙の資料や契約書も検索対象にできる。ルームへのログイン、ドキュメントの作成・編集・表示・ダウンロードなどユーザの操作履歴を記録し、レポートとして出力できる。
さらに5月25日に欧州連合(EU)で施行された個人データ保護規則(GDPR)など、業務データを海外サーバーに保管する際の現地の法規制を受けることに配慮し、今回のサービスではすべてAmazon Web Serviceクラウドを利用しながら、日本国内サーバでに保存する体制を構築。コストも月額5万円(税別)/10ユーザー・容量無制限と「他社VDRサービスとくらべて6分の1」と相場より大幅に価格をおさえた。今年度中にはモバイルデバイス対応や、人工知能(AI)機能を活かし、契約書に記載された契約期間などを自動的に読み取り、契約失効前にメッセージを送るなどの新機能の搭載も見込み「次世代VDR」として市場開拓を目指す。
AOSリーガルテックの佐々木隆仁社長は「今後M&Aに限らず、士業・医療・建設など業務文書のデジタル化、社外取締役との資料共有、テレワーク環境の構築まで、幅広いニーズが見込まれる。新サービスを通じて日本企業のデジタルトランスフォーメーションの進展に貢献していきたい」と話している。
■ニュースリリースはこちら
https://www.aos.com/vdr_release_20180425/
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com :峰田 慎二
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
津波による壊滅的被害から10年
宮城県名取市で、津波により工場が壊滅的な被害に遭いながらも、被災1週間後から事業を再開させた廃油リサイクル業者のオイルプラントナトリを訪ねた。同社は、東日本大震災の直前2011年1月にBCPを策定した。津波被害は想定していなかったものの、工場にいた武田洋一社長と星野豊常務の適切な指示により全員が即座に避難し、一人も犠牲者を出さなかった。震災から約1週間後には自社の復旧作業に取り掛かり、あらかじめ決めていたBCPに基づき優先業務を復旧させた。現在のBCPへの取り組みを星野常務に聞いた。
2021/01/21
-
台湾をめぐる米中の紛争リスクが高まる
米国のシンクタンクCouncil on Foreign Relations(CFR)は、2021年に世界中で潜在的な紛争が起こる可能性を予測する最新の報告書を公表した。報告書は、台湾問題における米国と中国の深刻な危機を、世界の潜在的な紛争の最高レベルとして初めて特定した。
2021/01/20
-
これからの国土づくり 「構想力」と「創意工夫」で
政府の復興構想会議のメンバーとして東北の被災地を訪ね、地域の再生や強靭な国土づくりに多くの提言を行った東京大学名誉教授の御厨貴氏は当時、これからの日本の行方を「戦後が終わり、災後が始まる」と表現しました。あれから10年、社会はどう変わったのか。いつか再び起こる巨大地震をめぐり、政治・行政システムや技術環境、市民の生活や仕事はどう進歩したのか。これまでを振り返ってもらいながら、現在の課題、今後の展望を語ってもらいました。
2021/01/14