千曲川に流れ込む支流も対策が求められる。2001年に当時の田中康夫長野県知事が脱ダム宣言を発表し、一時工事が中止になったのが、「浅川」上流に計画されていた浅川ダム。細い川だが、長沼地区が低地にあるため、千曲川が増水すると、浅川から千曲川への自然流下ができなくなり、排水機場で浅川の水をポンプでくみ上げ強制的に千曲川に排水する作業が行われる。過去5年間でも排水機場は3回運転している。千曲川の決壊に加え、内水氾濫も起こり得る水害への脆弱性から「長沼」という地名がついたと言われるほどだ。

一方、長野市内では、こうした豪雨災害に加え、山間部での土砂災害や、市街地での火災、地震対策など、多様な災害に対する防災をきめ細かに実施していくため、従来の地域防災計画だけでなく、市民が主体となり、各地区の特性に応じた防災計画を作る「地区防災計画」を活用していくことを決定。ちょうど長沼地区で、住民自治協議会らが中心となり独自の「避難ルールブック」や「防災マップ」づくりに取り組んでいたことから、地区防災計画として、こうした活動を支援することにした。

昭和58年に一部で越水が観測された小布施橋付近
1km以上の川幅が一気に200数十mに縮む狭さく部
千曲川に流込む浅川。千曲川の水 位が高い時には、画面左の排水機場でポンプアップして千曲川に強制的に流し込む