同モデルは、「企業防災推進ネットワークモデル事業」として取り組み、プラン策定や検討委員会の運営、普及啓発業務などを損保ジャパン・リスクマネジメント(東京都)に委託した。その間、3回の検討委員会、4回のワーキンググループ、モデルグループによる集団研修などを経て完成した。

愛知県産業労働部中小企業金融課団体指導グループの寺田順子氏は「何よりも中小企業のみなさんにとって、使えるBCPを目指しました。使えるとは、BCPをわかりやすく作れること、そして実際に使えるものになるという2つの意味があります」とあいちBCPモデルの特徴を述べる。

「作りやすさ」には①記載箇所をできる限り絞った②BCPの入門編としてコンパクト版を作った③参考となる記入例と事例集を作ったこと。また「使いやすさ」では、①コンパクト版の様式はできるだけ人命の安全確保に関するものに絞った②BCP対応の具体的な行動内容を時系列で整理した、という。このほか、モデルグループとして愛知県印刷工業組合、勝川駅前通商店街振興組合の協力を得て、その意見をモデルに反映させたほか、連携してBCPに取り組むときに参考となる事例やアイデアなどを「BCP取組み事例集」に掲載した。

さらに、分類を「製造業向け」と「商業・サービス業向け」の2つに分け、それぞれに「コンパクト版」、「標準版」を作った。「コンパクト版」は、中小企業のなかでも小さな規模で、BCPになじみがなかった企業向けにした。一方の「標準版」は、規模が比較的大きな中小企業向けで、しっかりしたBCPに取り組みたい企業向けの内容となっている。

あいちBCPモデル策定に協力した損保ジャパン・リスクマネジメントBCM事業本部の市川岳主任コンサルタントは「愛知県をはじめ、地元商工会議所や同業種組合などで数多くの講演させていただきました。その中で特に印象に残ったことは、大規模地震に対して備えが必要なのは充分認識されているものの、まず何から手をつけていいのかわからないという声が多かったように思います。それを踏まえ、あいちモデルでは、最低限これだけは必ず検討するポイントを明確にし、普及セミナーであいちモデルを認識してもらうことが重要だと考えています」と話す。

また、愛知県産業労働部中小企業金融課の寺田氏は「2008年2月に県内中小企業2000社に対し行ったアンケートでは、BCP策定済みの企業はわずか2.5%、策定中の企業も2.4%という結果でした。多くの中小企業は、時間、人材、資金面で余裕がないと考えられるので、簡単に取り組めるモデルを提供しました。このモデルでは、BCPの根本となる早期復旧のために必要最低限のポイントを押さえてありますので、ぜひ活用していただきたい」と述べている。