2024/01/03
令和6年能登半島地震

2024年元旦の日本を襲った令和6年能登半島地震は、直線距離で東に約150キロメートル離れた新潟県新潟市でも被害を発生させた。同市西区の中野小屋地区では複数の木造建物が倒壊。1階部分が崩れた農作業小屋の隣に住む長谷川富一さんは「(小屋が)崩れた音には気づかなかった。地震が激しく揺れている最中はそれどころじゃなかった」と話す。
地震発生時は自宅にいて、家族は無事だったという。農業を営む長谷川さんの作業小屋も傾いた。土塀も崩れ、柱には縦に裂け目が入った。衝立で小屋を支えながら、機材を運び出している。自宅の壁にもヒビが入ったという。「新潟地震でも小屋や土蔵は大丈夫だった。なぜ(震源地から)こんなに離れたところで被害が発生したのか」と話す。
中野小屋地区から新潟市中心に向けて車で15分ほどの距離にある県道16号線沿いも被害が目立つ。盛り上がり、段差が生じている道路や液状化が原因とみられる砂の噴出跡がそこかしこで見られる。坂井輪郵便局では傾いた駐車場に水が流れ込み、複数の車が搬出できないままの状態。坂井輪中学校では大きな裂け目が剥き出しのままだ。


県道16号線に面して理容業を営む安藤哲夫さんは「あまりの揺れの激しさで家から飛び出ました」と振り返る。地震後に確認すると理容店の駐車場と道路の間が裂け、50センチを超える段差が生じていた。「新潟地震ではこの辺りは被害がなくて大丈夫だった。今は家の中も傾き、ビー玉が転がるほど」と話す。


同じく県道16号線沿いに住む男性は、地震発生時は自宅の2階に家族といて「テレビが倒れないように必死で抑えた」と話す。揺れが収まった直後に窓を見ると、向かい側の住宅で倒れるブロック塀が目に入ったという。そして外に出ると目の前の道路と住宅の間に30センチを超える大きな段差が生じていた。「車が出せないので、とにかく不便。電気は通っているが水道とガスがまだ復旧しない」と話す。
「本当に激しい揺れでした」と語る女性の自宅は、液状化とみられる水と砂の噴出で、基礎部分が埋まったという。やはり水道とガスが止まったまま。家族が水などを運びこみ、避難せずにそのまま住んでいる。
(1月3日、写真・記事:山下祐司)
- keyword
- 令和6年能登半島地震
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/07
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
-
-
-
-
-
-
カムチャツカ半島地震 津波対応振り返り【専門家】
7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近の地震による津波が日本列島に到達。広い範囲で津波警報が発表されました。突然の警報に戸惑った企業も多いのではないでしょうか。南海トラフ地震では、短時間でより大きな津波が襲います。教訓として残ったものは何か。企業の振り返りと専門家へのインタビューを通じ、津波対策の課題と改善点を探ります。
2025/09/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方