2024/03/18
令和6年能登半島地震
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総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日には現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始した。
イオンディライトが管理する施設で能登半島地震で最も震源に近い店舗は、石川県にあるイオンタウン羽咋店だった。それ以外にも、石川県のイオンモール新小松、富山県のイオンモール高岡、新潟県のイオンモール新潟南などでも対応にあたった。
当時、福岡に帰省していた常務執行役員でマーケティングDX統括兼マーケティング本部長の生田徳明氏(取材時)は「震度7の地震だと確実に被害が発生する。オンライン会議に参加しながら、19時には飛行機で福岡を発ち、本社のある東京に向かいました」と話す。
イオンディライトでは震度5弱と5強、特別警報発令時などに、オンラインで本社災害対策室が必ず開設される。震度6弱以上で本社災害対策本部が動き出す。 全国に8支社を構え、8000件を超える施設を管理する同社では、被災エリアにある約350の管理物件のうち、70物件ほどで被害が発生した。
マーケティングDX統括配下のADソリューションセンターで部長を務める藤田修平氏(取材時)は「まずはお客様の避難誘導が最優先です。広範囲で誘導しましたが、大津波警報と津波警報の発令で12物件では垂直避難を行いました。大きなショッピングモールでは2000人規模が屋上に避難しました」と説明する。
大型商業施設では入居テナントを含めた施設内の従業員と協力して店舗内からの避難誘導を行うと同時に、来店客の新たな入店を防ぐために入口にポールを設置。建物外のスロープを使っての避難誘導、土嚢の積み上げなどを行った。
避難解除は店舗により異なり、主にイオンのゼネラルマネージャーや店長が判断したという。寒さのため、一定の時間が経過した後に屋上から店内の上層階に避難場所を変更した店舗もあった。まま宿泊する来店客もいたが、自己判断で帰宅するケースも少なくなかった。
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同社では安全が確保できた段階から被害情報を収集を開始。各施設で常駐する同社の設備管理員が被害報告システムに「報告者名」「連絡先」のような入力者情報と「火災」「停電」「ガス」「スプリンクラー」について直接入力していった。
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藤田氏は「情報伝達の短縮化や誤りを防ぐために、支店などを仲介させず現場が直接入力するシステム構成にしています。設備の分類はかなり細かいですが、復旧までを見越しての仕様です。もちろん必要があれば直接問い合わせます」と特徴を話す。
規模の大きな店舗の防災センターにはスピーカー機能を備えたモニタリング用カメラを設置し、状況を見ながらやり取りする。モニターに表示される範囲だけでも、現場の被害をリアルタイムで確認できるメリットは大きい。災害対策本部からの指示や本部とADソリューションセンター、支店間などの情報伝達にはチャットを活用している。
一方、災害対策本部のメンバーと支社のマネージャークラスには、地震発生直後に各管理施設の震度情報が1kmメッシュ単位でメールに配信された。震度4以上の地震で自動配信するシステムを活用している。安否確認も自動発報された。
同社の安否確認は約400人に自動配信され、3時間の回答率は94%だった。震度6弱以上で配信され、都道府県レベルの居住地ベースに設定している。昨年の6月に自動配信の設定震度を5強以上から6弱以上に変えた。
「耐震への意識が高まったこともあり、震度5弱では安否確認連絡をすることでかえって非効率になることがあります。もちろん、現場との連携やニュースなどで状況を確認しながら、必要があれば手動で実施します」と藤田氏は話す。
24時間以降に返答のなかった3人は、自宅まで確認に行った。生田氏は「幸いにもイオンディライトグループ内では、これまでの災害で人的被害の経験はありません。しかしながら、従業員は会社の財産です。自宅で体調を崩し、連絡が取れない状況にあることも十分に考えられます」と語る。
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