2018/09/06
東京2020大会のリスク対策
ボストンマラソン爆弾テロ事件でテロ対策を強化
東京マラソンとしてテロ対策の強化に努めるようになったのは、2013年4月に起こったボストンマラソンでのテロ事件発生を受けてのことです。100年以上の歴史があり、アボット・ワールドマラソンメジャーズの1つでもあるボストンマラソンのフィニッシュ付近で爆発が起こり、3名が亡くなりました。多くのランナーがフィニッシュするタイミングを狙ったテロでした。
テロ後の2013年6月に警備・救護強化プロジェクトを立ち上げました。東京都と日本陸連の他にも東京陸上競技協会、警視庁、東京消防庁、東京都医師会、東京都防災救急協会の協力をいただき広報啓発活動、警備強化策を検討しました。
2013年12月にはテロ対策合同訓練を行いました。ボストンマラソンのテロ事件のように、想定したのはフィニッシュ付近での爆弾テロ。ボランティアを含め600人に参加いただきました。2014年大会では監視カメラを設置し、また金属探知機による手荷物検査も実施しました。ただし、スタートエリアの交通規制がはじまってからの1時間30分で3万6000人を検査するため、初年度は混乱を招く結果となりました。この点は年々改善を図っています。情報連絡の体制を強化するために、広域無線を利用しはじめたのも2014年大会からです。
さらなる対策強化へ
現在、監視カメラ台数は当初の10倍以上に増やしました。設置場所はスタートとフィニッシュ、そして観衆の集まる銀座や浅草などが中心です。ウェアラブルカメラを携行した警備員による巡回の実施や、ドローン対策もスタートしています。
安全対策の1つとして車両突入防止用の資機材も導入しています。また、参加ランナーは顔写真の登録とセキュリティバンドの装着を義務づけています。
都市型市民マラソンはリスク対策が難しいイベントです。まず、観衆を合わせると100万人以上にも上ると見積もられる人たちをどう管理するか。重ねて制限時間が7時間と長く、ランナーや観客はどんどん移動します。また何らかの事情でレースが突然中止になれば、寒さで低体温の危険も出てきます。
自然災害対策
都市型市民マラソンのリスクとしてまず挙げられるのは自然です。2014年の青梅マラソンは雪で中止になりました。昨年の横浜マラソンは台風で中止。台風や雪ならば事前に中止の判断ができますが、開催中に大規模地震が発生したらどうなるでしょうか。3万8000人のランナーと観衆の対策が大きな課題です。海外では2012年にハリケーン・サンディの被害のため、世論の声におされる形でニューヨークマラソンが中止になりました。
自然災害に次いで都市型市民マラソンのリスクとして挙げられるのがテロや事件、事故です。欧州で散発する車両突入もそうですが、博多で起こったような道路の陥没も公道を使った大会では見過ごせないリスクになります。
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