2025/02/21
防災・危機管理ニュース
【ワシントン、サンパウロ時事】トランプ米政権が打ち出した関税政策を巡り、各国・地域との協議が本格化した。欧州連合(EU)とメキシコの担当閣僚は、ワシントンでラトニック米商務長官らと相次いで会談。米国による鉄鋼、アルミニウムへの25%の追加関税や貿易不均衡の是正などを巡って意見交換した。互いに関税をかけ合う「貿易戦争」の回避を目指す。
日本も近く武藤容治経済産業相が訪米し、関税措置の適用除外を求める意向だ。歴代米政権は、日本の自動車市場での非関税障壁や、農産品への高関税を問題視しており、交渉が難航する可能性もありそうだ。
EUのシェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)は19日、米国側と約4時間にわたって協議。翌20日の会見では、互いの関税措置による「不必要な痛みを避け、建設的な対話を模索する」と述べた。
トランプ米大統領は「EUは米国の自動車も農産品も受け入れない」と物品取引での対EU貿易赤字への不満を繰り返し表明。EUの乗用車への関税が10%と米国より高いと批判している。
シェフチョビッチ氏は会談に先立つ講演で、金融やITなどサービス分野では、米国が対EUで黒字を計上していることや、トラックへの米国の高関税などを指摘。「米国の一方的な関税引き上げを正当化する理由はない」と主張し、理解を求める考えを示した。
メキシコは、不法移民や合成麻薬の米国流入への対抗措置としてトランプ氏が表明した25%関税の発動も3月4日に控える。エブラルド経済相は20日の会談後、「建設的な対話」だったと振り返り、週明けから貿易に関する「共同作業」を始めると発表した。
米国による鉄鋼、アルミ追加関税の発動日は3月12日。米政権は、自動車や医薬品などへの関税のほか、関税や非関税障壁が高い国・地域に相応の関税を課す「相互関税」などの検討を進めており、トランプ氏得意の「ディール(取引)」の行方は見通せない。
〔写真説明〕トランプ米大統領=13日、ワシントン(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方