2025/03/31
防災・危機管理ニュース
元タレント中居正広氏と女性とのトラブルを巡るフジテレビの一連の問題で、同社と親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会(竹内朗委員長)が31日、調査報告書を公表し、記者会見を行った。
同委は報告書で、中居氏が自宅マンションに女性を誘い、性暴力を行ったと認定し、「重大な人権侵害行為に当たる」と指摘した。女性は当時フジ社員で、大物タレントの中居氏は同社の「有力な取引先」だったことなどから、「業務の延長線上」の性暴力と認められるとも明記した。
フジの幹部らがトラブル後、中居氏からの見舞金を女性に届けるなど同氏の利益になる行動を取ったことは「2次加害行為に当たり得る」との認識も示し、「経営の体をなしていない。被害者救済の視点が乏しかった」と厳しく批判した。
中居氏と女性はトラブル後に示談契約を交わし、トラブルと示談の内容を守秘義務とした。同委は調査に当たって守秘義務の解除を求め、女性は全面的に同意したが、中居氏は拒否した。このため、両者の守秘義務外の証言や関係者からのヒアリングなどをもとに事実認定を行ったという。
トラブル後、女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。当時の港浩一社長らは、女性の精神状態を懸念して現状を変更することを避け、中居氏の番組出演を継続したと説明しているが、竹内委員長は31日の記者会見で「間違った判断だった」と述べた。
報告書ではまた、「重要な社内ハラスメント事案」として、BSフジの「プライムニュース」でキャスターを務める反町理氏が女性社員2人に対して行ったものを含む計4件の事例も公表された。
第三者委の会見後、記者会見したフジの清水賢治社長は同委の報告書について「真摯(しんし)に受け止め、会社としての責任を痛感している」と語った。その上で「被害女性をどれだけ傷つけてしまったかと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と、改めて謝罪。人権や法令順守の確立などを盛り込んだ再発防止策を発表した。
〔写真説明〕フジテレビ本社=31日午後、東京都港区
〔写真説明〕調査報告書を公表し、記者会見するフジテレビ第三者委員会の竹内朗委員長=31日午後、東京都港区
〔写真説明〕第三者委員会の調査結果公表を受け、記者会見で頭を下げるフジテレビの清水賢治社長=31日午後、東京都港区
〔写真説明〕記者会見で質問を受けるフジテレビ第三者委員会の竹内朗委員長(中央)ら=31日午後、東京都港区
(ニュース提供元:時事通信社)




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