2025/04/16
防災・危機管理ニュース
【パリ時事】世界保健機関(WHO)加盟国は16日、コロナ禍を教訓に将来の感染症のパンデミック(世界的大流行)対策を強化する「パンデミック条約」策定交渉で合意に達した。条約案は5月のWHO年次総会で採択される見通し。締約国は国単位での取り組みのほか、国際協調による途上国支援を求められる。
交渉会合は先進国と途上国の利害対立で難航し、2022年の開始から3年余りに及んだ。合意を優先して議論を先送りした懸案もあり、それらを解決して条約が発効・機能するまでには時間がかかるとみられている。
WHOは声明で「加盟国が世界を安全にする努力で大きく前進した」と意義を強調した。
声明などによると、各国が合意した条約案(未公表)は、締約国がパンデミックの「予防、備え、対応」を手厚くすると規定。先進国がワクチンを囲い込んだコロナ禍の失敗を繰り返さないよう、医薬品の研究開発や技術移転、製造、供給網、資金調達で途上国を支えていくと明記した。
先週までの交渉では(1)製薬企業が新薬開発に不可欠な病原体情報の提供を受ける一方、緊急事態下で医薬品生産の10%をWHOに無償で供与し、途上国に分配する制度(2)締約国が過剰な備蓄を控える方針(3)動物からヒトへの感染予防によるパンデミックの早期封じ込め―でも大筋合意に達しており、合意案に盛り込まれたとみられる。
コロナワクチンを開発したファイザーなど世界的な製薬大手を擁する米国は、今年1月のトランプ政権発足時にWHO脱退を表明し、条約交渉から離脱した。米国を欠く条約については実効性を疑問視する見方もある。
〔写真説明〕「パンデミック条約」策定交渉合意を受け、笑顔を見せるテドロス事務局長=16日、ジュネーブ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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