2025/04/25
防災・危機管理ニュース
【上海時事】出口が見えない米中貿易戦争が、両国に関連する自動車業界のサプライチェーン(供給網)にもダメージを与えている。高関税の応酬の中、米国向け部品の出荷を全面停止するメーカーが相次ぐ。昨年の自動車部品の対米輸出額は990億元(約2兆円)で、中国の自動車部品輸出全体の15%に相当。中国の自動車部品生産は世界需要の3割を占める。米中の部品メーカーを巻き込んだ混乱は継続しそうだ。
上海市で開催中の上海モーターショーには中国を含む各国の部品メーカーも出展。製品の7割が米国向けという江蘇省の車載センサーメーカーは素材などを米国から輸入し、中国で加工した製品を米国に輸出している。輸出入双方に関税が課されるため「二重の痛手」となっており、急きょマレーシアで生産する計画を進めているという。ただ、担当者は「品質の問題もあり、簡単には切り替えられない」と不安を口にした。
悪影響を受けているのは、中国で操業する米部品メーカーも同じだ。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に納入している米部品メーカーも、中国からの出荷停止を余儀なくされた。製品に組み込む半導体は米国から輸入しており、米国以外の供給業者への切り替えを視野に入れている。この米部品メーカーの担当者は「工場を中国国外に置くことも検討しているが、資金が必要だ。トランプ米政権の『朝令暮改』には困っている」と嘆く。
一方、貿易摩擦激化を想定し、既に海外に生産を移転した中国企業も多い。上海市のモーターメーカーは「関税引き上げを予想していた」ため、米企業を買収し、米国で生産している。広東省深セン市の半導体メーカーは米国向け出荷が停止したものの、傘下に収めたブラジルの工場で対米輸出を増やす算段だ。
また、米半導体大手インテルの担当者も「中国市場向けは米国以外の工場で生産することを検討している」と明かす。
逆に、江蘇省無錫市の半導体企業には外資系メーカーからの発注が増えているという。担当者は「(半導体需要が爆発的に拡大した)コロナ禍以来の動きだ。これを機に成長を目指す」と期待を示した。
〔写真説明〕上海モーターショーに出展した自動車部品企業のブース=24日、中国・上海
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方