2025/04/30
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】インド北部の観光地パハルガムで26人が犠牲となったテロから29日で1週間がたった。現場のカシミール地方はパキスタンとの係争地。インドはパキスタン政府がテロを支援したと断定し、幾度となく戦火を交えてきた両国の対立が再び激化している。
「全てのテロリストやその指令役、支援者を特定、追跡し処罰する。地の果てまで追い詰める」。インドのモディ首相は24日、東部ビハール州での演説でそう声を張り上げた。
犯行を主張したのは、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」(LeT)の関連組織とされる。インドは事件後、国境閉鎖や、両国にまたがるインダス川の水資源利用協定の履行停止などの報復措置を発表した。
主な水源を同川に頼るパキスタンにとって、協定の履行停止は死活問題。政府は事件への関与を否定し、声明で、下流域国の権利を侵害する行為には「全力で対処する」と警告した。対印貿易停止といった手段で対抗した。
パキスタンのダール副首相兼外相は中国の王毅共産党政治局員兼外相や英国のラミー外相らと相次いで電話会談。「インドの違法な行動や根拠のないプロパガンダ」を非難し、自国の立場への支持を訴えた。
インドメディアによると、事実上の国境となっているカシミール地方の実効支配線一帯では印パ両軍が連日、相手の駐屯地などに向け発砲を繰り返している。緊張が高まる中、海上ではインド海軍が対艦兵器の発射訓練を実施した。
インドがさらなる強硬手段に打って出る可能性もある。モディ政権は2019年、カシミール地方で治安要員約40人が死亡したテロの報復として、パキスタン側のイスラム過激派拠点とされる地点を空爆した。パキスタンのハワジャ国防相はロイター通信のインタビューで、「インドの軍事侵攻が差し迫っている」と危機感をあらわにした。
インド陸軍防空連隊の元司令官プラシャント・ジャ氏は、インドが今後テロ首謀者らを標的にした限定的な軍事作戦を行うと予測した上で、「大規模な戦争は必要なく、実行可能な選択肢では全くない」と語った。
〔写真説明〕28日、カシミール地方のインド側中心都市スリナガルで警備に当たる同国の治安要員(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方