2025/05/13
防災・危機管理ニュース
大阪・関西万博が開幕して13日で1カ月。一般来場者数は開幕24日目の6日に200万人を突破した。会期を通じて約2200万人が来場した2005年の愛知万博より6日早いペースだが、大型連休中は愛知ほど伸びず、「頭打ち」感も漂った。入場時間やアクセス面での課題が浮上しており、より多くの人が来場しやすくなる対策が求められる。
大阪・関西万博の今月11日までの一般来場者数は約250万人と、愛知万博と比べ約3割多いペース。日本国際博覧会協会の幹部は「実績は評価できる」と胸を張る。しかし、書き入れ時の4月29日~5月5日の1週間で、1日当たりの最多来場者数を見ると、愛知万博の約14万9000人に対し、大阪・関西万博は約12万人にとどまった。
伸び悩みの原因の一つには、「並ばない万博」を目指して構築した入場予約システムの弊害が指摘されている。来場者は原則、午前9時から1時間ごとの時間帯の中から事前予約する。大型連休中は午前10時台までの枠がすぐに埋まったため、後から来場を希望する人が予約できなかった。
吉村洋文大阪府知事は「多くの方が入場を諦め、事実上の『入場制限』になっている」と主張。来場時間や交通手段の分散化を訴えた。
これを受け、協会は今月10日以降、週末に限り午前中の予約枠を拡大した。7日からは夜間券の入場も「午後5時」から「午後4時」に早めている。
交通手段を巡り、協会は車での来場者向けに、専用駐車場でシャトルバスに乗り換えてもらう「パークアンドライド(P&R)」方式を導入。駐車料金を5000円台に設定した。しかし、平日のP&R利用率は全体の約1割と低迷しており、協会は駐車料金の値下げを含めた利用促進策を検討している。
会場と直結する大阪メトロ中央線は来場者を万博につなぐ大動脈だが、先月には車両事故が発生し、来場者ら約4000人が最寄りの夢洲駅で足止めにされた。協会は大阪メトロとの情報共有を密にする対策を講じたものの、バスによる振り替え輸送には限界があり、「根本的な解決手段はない」(協会幹部)との声も漏れる。
〔写真説明〕空きスペースが目立つ、夢洲の「パークアンドライド(P&R)」の専用駐車場=12日午前、大阪市此花区
〔写真説明〕来場者でにぎわう大阪・関西万博の会場=12日午後、大阪市此花区
〔写真説明〕大阪・関西万博の会場に向かう人たちで混雑する東ゲート前=12日午前、大阪市此花区
(ニュース提供元:時事通信社)



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