2025/05/20
防災・危機管理ニュース
【カイロ時事】イスラエルは20日もパレスチナ自治区ガザ各地で軍事作戦を継続し、ガザ保健当局は同日、少なくとも53人が死亡したと伝えた。イスラム組織ハマスの掃討を進めるイスラエル軍が作戦拡大に着手したと16日に発表して以降、犠牲者は急増しており、同当局の集計によれば、これまでの死者数は600人を超えた。
ガザで救助活動を担う民間防衛隊の報道担当者は20日、AFP通信に対し、「(病院に搬送した犠牲者の)多くが子供と女性だった」と指摘。避難所となっていた学校や民家への攻撃で命を落としたと説明した。
イスラエル軍は16日の作戦拡大発表後、18日には大規模な地上作戦も開始したと公表。ネタニヤフ首相は「ガザ全域を掌握する」と強硬姿勢を取っており、攻撃はさらに激化する可能性がある。
人道危機が一段と深刻化する中、イスラエル政府は19日、3月初旬以降禁じていたガザへの支援物資搬入を限定的に再開。イスラエル当局によれば、トラック5台分の支援物資がガザに搬入された。
ただ、現地で必要とされる分量のごく一部にすぎず、国連のフレッチャー事務次長(人道問題担当)が「(搬入された物資は)大海の一滴だ」と指摘。国際的な批判が高まっている。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は人道支援を故意に停止することで「200万人(ガザの全住民)が飢えている」と訴えた。
物資搬入はイスラエルが禁止する以前、国連や人道支援団体によって行われてきた。しかし、イスラエルはハマスの「横取り」を防ぐためとして、自国軍と米企業が関与する計画を推進。これに対し、日本や英独仏など22カ国の外相は19日、「支援物資を政治化してはならない」と反対を表明した。
スターマー英首相、マクロン仏大統領、カーニー・カナダ首相は19日、イスラエルが攻撃を停止せず、人道支援の制限を解除しないなら、制裁を含む「さらなる措置もためらわない」と警告した。
〔写真説明〕19日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ境界のケレム・シャローム検問所で、ガザに向かう支援物資を積んだトラック(ロイター時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方