国際ビジネス企業にとって対中デカップリングは待ったなしの課題(写真:Adobe stock)

チャイナリスクを日本起因という人たち

中国の「戦狼外交」は留まるところを知らず、エスカレートしていっている。筆者は、中国習近平国家主席の任期内の台湾統一が平和的手段では困難になり、軍事的侵攻もハードルがこれまで以上に高まっている状況に焦りを隠せず、政府幹部や取り巻きが忖度して過激化していっているように感じている。

留まるところを知らない中国の圧力(写真:Adobe stock)

こうなると、現場での偶発的衝突リスクが自ずと高まるのであり、そのリスクを想定して万が一に備えることが必要不可欠になる。だが、日本が国家のリスクに向き合うことが苦手である実態が心配でならない。この状況でもいまだに国内・身内による後ろからの攻撃が盛んなことが、現在の最大のリスク要因かもしれない。

この緊迫した状況では、情報戦が重要になる。まずは直近での出来事を考察したい。

なんといっても火器管制レーダー照射事件だろう。これは中国が議長として定めたCUES(海上衝突回避規範)に明確に違反する危険な行為であり、今の国際常識であれば攻撃を受けたのと同等の扱いになり、防衛のための反撃が可能な状況になる。

日本の場合、憲法9条の専守防衛の原則に則り、撃たれてからでないと防衛の反撃は許されず、ロックオンされようと警察行動しかできない。相手の暴走を抑制できず、暴発を誘引するリスクすらある。あらためて思うが、スクランブル発進する自衛隊員の皆様には、命の危険に立ち向かう活動に感謝以外に言葉はない。

偶発的衝突リスクが自ずと高まってる(写真:Adobe stock)

中国側は、さまざまな情報戦を仕掛けているが、百歩、いや百万歩譲ってその発言が正しかったとしても、CUES違反のレーダー照射が容認されるわけではない。そして、中国側の発信は少し考えれば嘘だと喝破されるものばかりで、嘘でも強弁すれば道理が引っ込むという、力による現状変更を是とする考えなのだろう。

忘れてならないのが、中国のこの種の言動は対日本に限った話ではないことだ。レーダー照射は他国も受けており、言いがかりの経済措置も日本だけではない。国際社会はもうこの行動特性に気付いている。

ただし、気付いているからといって正義は必ず勝つというほど国際社会は甘くなく、当事国が対峙し、解決していくことが大原則である。だからこそ、中国は情報戦を執拗に仕掛けており、すぐに気付く嘘でも堂々と恥ずかしげもなく繰り返すのだろう。

日本政府が冷静に即時否定しているのが今までとは異なる対応であり、米国や豪州など諸外国も日本寄りの声明を発信している。私の見る限り、世界中で最も中国寄りの発言を繰り返しているのが日本の政界とオールドメディアの出演者ではないだろうか。なんとも嘆かわしい限りなのだ。

中国側発信に「日本側のハニトラを受けた人物を公表するぞ」という脅しもあったが、日本メディアはこの情報を調査・取材し実態を報道する気概を見せてほしい。実際、その発言後に高市批判を繰り返した人物は存在するのだから、調査対象はわかりやすいのではないだろうか。