【ワシントン時事】米ニューヨークの国際貿易裁判所は28日、トランプ大統領が安全保障上の脅威に対処する権限を定めた国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税について、大統領の権限を越えたものだとして差し止めを命じた。トランプ氏が4月に公表した相互関税などが対象となる。トランプ政権に対し、10日以内に関税を停止するための行政手続きを取るよう求めた。
 裁判所は、相互関税などに関する大統領令は「IEEPAによって大統領に認められた権限を越えている」と明言。また、議会は大統領に関税の権限を無制限に移譲していないとした。判断は全会一致だった。
 裁判所は一連の関税について「運用は永久に停止される」と指摘。ロイター通信によると、トランプ政権は直ちに上訴した。
 トランプ氏が不法移民や薬物の流入を理由に「国家非常事態」を宣言し、2月に命じたカナダやメキシコへの25%、中国に対する10%の関税措置もIEEPAに基づいていた。裁判所は、高関税政策の第1弾となったこれらの措置にさかのぼり、関税を差し止める決定を下した。
 相互関税を巡って米政権は、上乗せ分を90日間停止。その間に各国との交渉を進めている。
 ニューヨークやアリゾナ、ミネソタなど計12州がトランプ政権の打ち出す高関税政策は違法だとして、国際貿易裁に提訴していた。 
〔写真説明〕ホワイトハウスで相互関税に関する大統領令を掲げるトランプ氏=4月2日、ワシントン(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)