総務省消防庁は、乾燥や強風で火災のリスクが高まった際に住民の火の使用を制限する火災警報について、市町村が発令を判断する目安を示す。気象条件が基準を満たさないことなどから、発令されないケースが多い。火の不始末による林野火災が多発する中、発令の考え方や手順を示し、活用を促す。同庁などの検討会で今夏ごろまでにまとめる。
 火災警報は、火災の発生や被害の拡大を防止するのが目的。全国一律の発令基準は定められておらず、湿度や最大風速などを基準とする市町村が多い。発令区域内では、火入れやたき火といった火の使用が制限される。違反者への罰則は30万円以下の罰金または拘留となっている。
 消防庁によると、2024年までの5年間で火災警報を発令したのは6市のみ。今年2月に大規模な山林火災が発生した岩手県大船渡市でも発令されなかった。気象条件が基準を満たさないだけでなく、火の使用の制限で農林業や市民生活に影響が出ることを懸念し、発令に消極的になる傾向がある。
 このため同庁は、風速や湿度の基準を地域の実態に即して設定することや、気象条件以外の指標も考慮して検討することなど、警報を発令する際の判断の目安を示す。市町村がタイミングを逃さず適切に発令できる環境を整える。
 また同庁は、警報の発令対象となる地域の考え方を見直す。現在は市町村単位だが、市町村内の特定の区域でも発令できるよう検討。住民や観光客への広報も強化する。 
〔写真説明〕岩手県大船渡市の山林火災で焼けた集落=3月11日、同市三陸町綾里

(ニュース提供元:時事通信社)