【北京時事】中国やロシアが主導する上海協力機構(SCO)の国防相会議が25、26両日、山東省青島で開かれ、加盟10カ国の国防相らが出席した。議長役の董軍・中国国防相がトランプ米政権をけん制し、加盟国間の結束を求める一方、インドメディアによると、同国のシン国防相は共同文書への署名を拒否。足並みの乱れを露呈した。
 習近平政権は近年、SCO加盟国との安全保障連携を重視し、ロシアやイラン、パキスタンなどとの軍事演習に力を入れている。中国国防省によると、董氏は25日、米国を念頭に「一国主義と保護主義が増長し、覇権やいじめ行為が国際秩序に打撃を与えている」と主張。「世界の戦略的安定維持」を訴えた。
 2020年に中印国境付近で両軍が武力衝突し死者が出て以降、インド国防相の訪中は初めて。報道によると、シン氏は会議の共同文書について、今年5月のパキスタンとの衝突のきっかけとなったテロ行為に言及していないことを理由に署名を拒否した。パキスタン国内の騒乱をインドが引き起こしていると示唆する内容も含まれていたといい、中国が友好国、パキスタンの意向を強く反映させようとしたもようだ。
 中印関係は昨年の首脳会談を経て改善機運にあるが、水を差された形。それでも中国側としては、今年8月末から天津で行われるSCO首脳会議にモディ印首相を招きたい考えだ。 
〔写真説明〕26日、中国山東省青島で開かれた上海協力機構(SCO)の国防相会議に出席する董軍・中国国防相(AFP時事)
〔写真説明〕26日、中国山東省青島で開かれた上海協力機構(SCO)の国防相会議に出席するインドのシン国防相(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)