国土交通省は、電線を地中に埋めて電柱を撤去する「無電柱化」の加速に向け、新たな目標を設ける方針だ。市街地の緊急輸送道路で2030年度までに工事の完了を目指す区間を、26年度から5年間の次期推進計画に盛り込む。有識者検討会で議論し、来春の取りまとめを目指す。
 国交省は、全国の緊急輸送道路のうち、災害時に電柱倒壊のリスクが高い市街地の約2万1826キロを中心に無電柱化を推進。ただ、24年度末時点で工事が完了した区間は35%にとどまる。
 このため同省は、特に重点的に取り組む区間を選定し、事業のスピードアップを図る。次期計画には新たな整備目標として、30年度までに工事を完了する区間を具体的に示す考え。21~25年度の現行計画では、工事の着手率を目標として設定している。
 道路の幅が狭いといった理由で電線を地下に埋める工事が難しい区間では、側溝などに通す工法の導入推進を掲げる方向だ。地下に埋める場合に1キロ当たり約5億円とされるコストの削減や工期短縮にもつなげる。
 緊急輸送道路は、災害対策基本法に基づき、都道府県が指定。電柱が倒壊すると緊急車両の通行の妨げとなるため、緊急輸送道路での電柱の新設は禁止されている。無電柱化は都市景観の向上にもつながることから、国交省は電力会社など電線管理者や自治体への財政支援を行っている。 
〔写真説明〕大阪・難波地区の電柱と電線=1月18日(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)