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近年、イスラエルは「中東のシリコンバレー」と称されるほど、テクノロジー分野でのイノベーションが注目を集めている。AI、サイバーセキュリティ、医療技術、ドローンなどの分野で世界的な競争力を持つイスラエル企業との提携は、日本企業にとって魅力的なビジネスチャンスとされてきた。しかし、地政学的緊張の高まりや国際社会での反イスラエル感情の強まりにより、こうした関係が日本企業にとって新たなリスク要因となりつつある。

イスラエルの技術力と日本企業の関心

イスラエルの人口は1000万人ほどだが、スタートアップ企業やテクノロジー企業の数が非常に多い。ナスダックに上場するイスラエル企業は、米国のシリコンバレーや中国に次ぐ規模を誇る。特に、ウェブ開発のWixや、自動運転技術のモービルアイなど、世界的に知られる企業がイスラエル発である。日本企業もこの技術力を背景に、イスラエル企業との提携を積極的に進めてきた。

地政学的リスクと反イスラエル感情の高まり

しかし、イスラエルを取り巻く国際情勢は複雑だ。2025年6月のイスラエルとイランの軍事的応酬や、トランプ政権下でのイランへの初の空爆に見られるように、中東地域の緊張は依然として高い。特に、ガザ地区でのイスラエルの軍事行動は、イスラム諸国を中心に国際社会で強い反発を招いている。国連や人権団体は、イスラエルの攻撃が国際人道法に違反する可能性を指摘し、反イスラエル感情が世界的に広がっている。このような状況下で、イスラエル企業とのビジネス関係は、日本企業にとって新たなリスクをもたらしている。