TICAD9開会式(写真:外務省・内閣広報室)

2025年8月、横浜で9回目となるアフリカ開発会議(TICAD)が開催された。石破首相は「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を発表し、日本のアフリカへの関与を強化する方針を示し、今後3年間でAIの分野で3万人を育成する方針を表明した。中国だけでなく、トランプ関税によって米国への懸念も強まる中、日本企業の間ではアフリカへの関心が強まっている。

アフリカは、経済成長の新たな舞台として世界の視線を集めているが、同時にテロの脅威がリスク要因である。特に近年では、サヘル地帯を中心に活動する武装集団が、国境を越えて沿岸地域へ勢力を伸ばす動きが顕著だ。2025年のグローバル・テロリズム・インデックスによると、サヘル地域は世界のテロ関連死者の半数以上を占め、事件件数も全体の2割近くに達している。この傾向は年々悪化しており、国際社会の懸念を高めている。

サヘル地域のテロの中心勢力は、アルカイダ系とイスラム国系の二大グループだ。まず、イスラムとムスリムの支援団(JNIM)は、2017年に複数の過激派組織が統合して誕生した。マリ、ブルキナファソ、ニジェールを中心に、数千人の戦闘員を抱え、ゲリラ戦術や自爆テロを駆使する。地元住民の不満を巧みに利用し、支援ネットワークを構築しているのが特徴で、最近ではドローンや即席爆発物(IED)を活用した攻撃を活発化させている。北部マリでは都市支配を狙い、ブルキナファソでは治安当局を標的に大規模襲撃を繰り返す。ニジェールでも活動域を広げ、税収や資源搾取で資金を調達しながら、シャリア法(厳格なイスラム法)の適用を推し進めている。これにより、組織の持続可能性を高めている。