第21回 エコプロアワードと気候変動アクション環境大臣表彰の動向
表彰の内容と動向を紹介

島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
2025/08/05
環境リスクマネジメントに求められる知識
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
エコプロアワードは、日本市場において事業者・消費者・投資家、さらには市場関係者から評価が高いです。その理由は、具体的に優れた環境配慮が組み込まれた製品・サービス・技術・ソリューション・ビジネスモデルといった案件を表彰することで、これらのさらなる開発・普及促進を図り、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX: Sustainability Transformation; 社会および企業の持続可能性をより重視した経営を行う)の実現を目指しているからです。気候変動アクション環境大臣表彰は、気候変動対策推進の一環として、「気候変動の緩和」と「気候変動への適応」に関し顕著な功績のあった個人または団体に対して、その功績をたたえることを目的としています。第19回と第20回に引き続き、エコプロアワードと気候変動アクション環境大臣表彰について、内容と動向を紹介いたします。
エコプロアワード (EcoPro Awards)は、サステナブル経営推進機構が主催し、財務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、金融庁が後援して、エコプロアワード運営事務局 (以下、「SuMPO:さんぽ」という) のもとで実施されています。
2018年の第1回では、44件の応募から16件の受賞が決定され、その後は、毎年ほぼ同程度の応募数があり、受賞者が表彰されています。
2024年の第7回では、49件の応募があり、その中から5件の大臣賞、5件の優秀賞、10件の奨励賞が決定しています。その受賞者は、図表1のとおりです。
第7回の受賞案件の特徴は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向けた地域循環型モデルの展開やカーボンニュートラル社会に向けたエコロジー熱源技術や環境配慮型コンクリート開発、フードロス削減、生物多様性の保全、水資源の「見える化」など、多分野において優れた活動が評価されていることです。これらの優れた取り組みが、エコプロアワードによって更なる普及をしていくことが期待されています。
なお、表彰式は、2024年12月6日に「SuMPO:さんぽ」と日本経済新聞が主催する環境展示会「エコプロ2024」の特設ステージにて実施され、受賞者紹介は、「SuMPO:さんぽ」のエコプロアワード特設ブースにて行われました。
気候変動アクション環境大臣表彰(以下、「環境大臣表彰」という)は、環境省が、気候変動対策推進の一環として、「気候変動の緩和(温室効果ガスの排出抑制対策)」と「気候変動への適応(気候変動の影響による被害の回避・軽減対策)」に関し顕著な功績のあった個人または団体(自治体、企業、学校、NPO/NGOなど)に対して、その功績をたたえるために行っています。
具体的に、「気候変動の緩和」とは、温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行うことを指しています。例えば、省エネの取り組みや再生可能エネルギーなどの低炭素エネルギー、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の普及、植物によるCO2の吸収源対策などです。
「気候変動への適応」とは、すでに起こりつつある気候変動影響による被害への回避・軽減のための備えと、新しい気候条約の利用を行うことを指しています。例えば、豪雨や熱波などの異常気象への対応、サプライチェーンも含めた気候変動リスク管理などです。
また、わが国は、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロとする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言したところであり、この目標を達成するためには、優れたCO2排出削減技術の創出と社会実装の加速化が不可欠です。そのため本表彰に特別枠として「イノベーション発掘・社会実装加速枠」を設けて、脱炭素社会構築に貢献するイノベーションの卓越したアイデアと、その迅速かつ着実な社会実装が期待できる確かな実績・実現力を有する者に対して表彰を実施しています。
「環境大臣表彰」の対象とする功績は、3部門ですが、特別なテーマに合致した団体も表彰の対象に加え、次の4つを表彰しています。なお、活動については、国内活動にとどまらず、国際的に活動することにより、国際貢献にかかわる活動も含まれています。
① 開発・製品化部門 (ア)緩和分野、(イ)適応分野
② 先進導入・積極実践部門 (ア)緩和分野、(イ)適応分野
③ 普及・促進部門 (ア)緩和分野、適応分野共通
④ イノベーション発掘・社会実装加速化枠
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