第23回 環境格付の概念と動向
環境格付の概念と動向について解説
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
2025/10/08
環境リスクマネジメントに求められる知識
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
環境格付は、国際連合(United Nations)の「環境と開発に関する世界委員会(WCED :World Commission on Environment and Development)」の1987年における報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」で認識され、1992年ブラジルのリオデジャネイロにおけるWCEDの地球サミット(通称:リオ会議)以降、世界的に定着しました。環境経営を行う企業への投資活動が、環境格付融資です。環境格付融資は、優遇金利という動機づけを持たせることで、企業の環境保全に対する取り組みを後押しつつ、資金需要の掘り起こしを目的とする金融商品の一種です。第23回では、環境格付の概念と動向について解説いたします。
近年、環境経営を評価する手法として、「環境格付」が浸透しています。環境格付は「CSR (Corporate Social Resposibility )格付」または「サスティナビリティ格付」とも呼ばれています。環境格付は、「企業の環境経営における3つのボトムライン―自然・社会・経済―を押さえて、企業の環境サスティナビリティ維持と環境保全の実現に対する度合い(環境サスティナビリティ貢献性)を基軸として企業の全活動を評価・分類する」と定義されています。わが国の主な環境格付と一般的な信用格付を比較しますと、図表1のとおりです。
図表1において、「項目」欄の①から③を比較しますと、次のことが明らかです。
① 「主たる格付者(格付機関)」では、信用格付と環境格付の格付機関がまったく異なっています。
② 「格付対象・目的」では、信用格付が金融商品を対象にしているのに対し、環境格付は、環境報告書などを対象とすることから格付対象は異なるが、両者ともに格付の目的は、企業評価です。
③ 「発行体格付・符号表示例」では、環境格付においては、信用格付と類似した発行格付符号表示のほかに、☆(星)印やランキング形式など多様です。
上記以外で、環境格付と信用格付には、次のような特徴があります。
㋑ 信用格付は、債券や株式などの財務的側面を対象として、1900年創業のムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investor Service)の創業者であるムーディー(J. Moody)が、1909年にアメリカにおいて、250社の鉄道会社の鉄道債券を格付したことに端を発しています。日本では、1979年に日本公社債研究所が設立され、1980年代にかけて制度の整備・拡充が行われました。
㋺ 信用格付と環境格付は、格付者(格付機関)と発祥時期・発祥地の起源も大きく異なりますが、両者の目的は、企業の債券または企業自体を、第三者の視点で客観的に評価する点は同じです。
㋩ 企業の視点から、環境格付を採用するメリットは、環境対応が進み、環境格付で高く評価されれば、企業は、取引の円滑化や売上増など直接的に収益向上につながる効果だけでなく、株価が上昇し、資金調達が容易になる効果も得られる可能性があります。
㋥ 信用格付は、ステークホルダーの投資活動に対して、有用な情報を提供するのに対して、環境格付は、投資家が、環境経営を行う企業への投資活動に対し必要不可欠な評価ツールとなります。環境経営を行う企業への投資活動が、社会的責任投資(SRI :Socially Responsible Investment )と環境格付融資です。
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