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環境経営度調査は、企業の環境経営を総合的に分析し、温暖化ガスや廃棄物の低減などの環境対策と経営効率の向上をいかに両立しているかを評価する調査で、1997年に日本経済新聞社が日経リサーチの協力を得て開始しました。2019年に「日経SDGs(Sustainable Development Goals)経営調査」と統合して、調査を継続しています。環境ブランド調査は、日経BP(Nikkei Business Publications)が、2000年に開始しました。2020年からは、「ESG(Environment Social Governance)ブランド調査」として調査を継続しています。第22回では、日経SDGs経営調査とESGブランド調査の方法と動向を紹介いたします。

(1)環境経営度調査(日経SDGs経営調査)の方法と動向

環境経営度調査は、一般に、「日経のCSR (Corporate Social Responsibility)ランキング」と呼ばれています。第22回(2019年度)環境経営度調査の企業ランキング上位の製造業(上位10位)と非製造業(上位3位)の結果は、図表1のとおりです。

図表1の調査は、2018年12月から2019年3月に、上場と非上場の有力企業、製造業1731社、非製造業1,318社を対象に実施し、599社の回答結果です。環境経営度の評価方法は、①環境経営推進体制、②温暖化対策、③製品対策(製造業と建設業のみ)、④汚染対策・生物多様性対応、⑤資源循環の5つの評価指数から総合スコアを算出し、製造業は総合ランキング、非製造業は業種別のランキングを作成します。評価指数によって最高点が異なるため、最高を100、最低を10に変換、製造業と建設業は最高スコアを500、非製造業は最高スコアを400としています。

環境経営度調査は、第22回で終了し、2019年に「日経SDGs経営調査」と統合して、調査を継続しています。この調査は、「事業を通じてSDGsに貢献し、企業価値向上につなげる取り組みをSDGs経営」と定義して、「SDGs戦略・経済価値」、「環境価値」、「社会価値」、「ガバナンス」の4つの視点で評価しています。

調査方法は、電子調査票をダウンロード・アップロード形式により回答・提出する方法です。回答内容から総合的に企業の「SDGs経営」を評価します。対象企業は、全上場企業および従業員100人以上の非上場企業です。

日経SDGs経営調査による第1回(2019年)から第6回(2024年)までの受賞者は、図表2のとおりです。

図表2では、第6回から「プライムシート」が新設さています。これは、高い評価を続ける企業を選定して表彰するものです。第6回においては、ソフトバンクとリコーが3回受賞しているので、選出されています。

第5回では、899社、第6回では877社の回答を得ています。第1回の637社と比較すると増加していることがわかります。

なお、図表1と図表2を比較した場合、まず、図表1では、5つの評価指標から総合スコアによってランキングを決定しているのに対して、図表2では、4つの視点から総合的にSDGs経営を評価して決定しています。次に、図表1と図表2において継続して選出されているのは「コニカミノルタ」「サントリーホールディングス」「アサヒグループホールディングス」「東京海上ホールディングス」でありますが、企業が大きく変化していることがわかります。