2025/08/08
防災・危機管理ニュース
【北京時事】敗戦後に急速な復興を遂げ、先進国の仲間入りを果たした日本と、1949年に建国され、21世紀に世界第2位の経済大国へと躍進した中国。日本は中国と国交を正常化した72年以降、円借款や技術供与で中国の経済成長を後押しした。その後50年を経て日中の力関係は様変わり。今や両国企業は世界各地で激しく競合している。
「中国経済がここまで大きくなるとは誰も思っていなかった」。90年代に遼寧省瀋陽に進出した愛知県の機械部品メーカー元幹部はこう語る。当時の中国は経済の急成長が始まっていたが、インフラ整備は進んでおらず、停電も頻発したと振り返った。
だが、進出の決め手となった中国の人件費は経済成長とともに上昇。同社も2017年に工場をベトナムに移転した。中国に拠点を置く日系自動車メーカーなどへ今でも製品を売っているものの、近年は中国の部品メーカーの勢いに押されているという。
帝国データバンクによると、中国に進出した日系企業数は24年に1万3034社と、ピークの12年から約1割減った。米中貿易摩擦の激化に伴うサプライチェーン(供給網)の分断や中国の成長鈍化が要因とされる。ただ、北京の日系自動車大手幹部は「言い訳にすぎない。日本企業は中国で勝てなくなっている」と強調する。
中国で日本の存在感は低下傾向にある。国交正常化時に日本の3分の1にすぎなかった中国の国内総生産(GDP)は10年に日本を超え、24年には5倍近くまで膨らんだ。中国外務省は15年、対日関係を手掛ける「日本課」を廃止し、朝鮮半島やモンゴルを担当する部署と統合。経団連など主要経済団体は1975年からほぼ毎年1回、北京へ大型代表団を派遣しているが、08年に胡錦濤国家主席(当時)と会談したのを最後に、最高指導者と会えていない。
「中国はもはや米国以外をそれほど重視していない」。北京に駐在する日系インフラ大手の幹部は、時の流れとともに薄れた日本の経済的な優位性を端的にこう表現した。
〔写真説明〕中国の電気自動車(EV)生産ライン=4月22日、安徽省合肥
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 中国
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
第二次トランプ政権 未曽有の分断の実像
第二次トランプ政権がスタートして早や10カ月。「アメリカ・ファースト」を掲げ、国益最重視の政策を次々に打ち出す動きに世界中が困惑しています。折しも先月はトランプ氏が6年ぶりに来日し、高市新総理との首脳会談に注目が集まったところ。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に、第二次トランプ政権のこれまでと今後を聞きました。
2025/11/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/11/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/04
-
-
-
-
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方