2025/08/13
防災・危機管理ニュース
40度に迫る異例の猛暑が襲った7月の北海道では、熱中症による救急搬送が急増し、一大産業の酪農にも深刻な影響が出ている。各自治体は冷房がある施設を「クーリングシェルター」として指定し、住民に利用を促すなど対応を急いでいる。
気象庁によると、北見市では7月24日、同市内では観測史上最高気温となる39度を記録し、帯広市でも同市内の最高気温と並ぶ38.8度を観測した。道内4地方で熱中症警戒アラートが出され、7月の平均気温は平年を4.8度上回った。
道によると、5~7月末までに熱中症の疑いで救急搬送された人は2066人(速報値)に上り、前年同期の951人に比べ倍増した。
猛暑は北海道の一大産業である酪農にも影響を及ぼしている。道東の十勝地方で酪農業を営む男性によると、乳用種として肥育されるホルスタインは暑さに弱く、舌を出して寝転んだまま動かない「夏バテ」状態が多く見られた。
牛舎の暑さ対策としては、換気設備や大型扇風機の設置があるが追い付いておらず、搾乳量は平年比10%以上落ち込んでいる。男性は「大きな打撃となっている」と不安をのぞかせた。
北見市はこれまで、約2年かけて市内の公立小中36校の普通教室に冷房を完備。今年からは市内13カ所でクーリングシェルターの開放を始めた。一般家庭や既存の公共施設にはいまだに冷房が設置されていないことも多く、シェルターの利用で市民に熱中症を防いでもらう狙いだ。
道によると、現在、道内179市町村のうち73市町村が573カ所にクーリングシェルターを開放。大手スーパーと協定を結び、道内にある140店舗をシェルターとして活用するよう自治体に呼び掛けている。道の担当者は「8月も例年以上の猛暑が見込まれる。涼しい場所で過ごし、小まめに水分や塩分を補給することで、熱中症を予防してほしい」と呼び掛けている。
〔写真説明〕保健センターに設置されたクーリングシェルター=7月24日、北海道北見市(市役所提供)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
-
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方