40度に迫る異例の猛暑が襲った7月の北海道では、熱中症による救急搬送が急増し、一大産業の酪農にも深刻な影響が出ている。各自治体は冷房がある施設を「クーリングシェルター」として指定し、住民に利用を促すなど対応を急いでいる。
 気象庁によると、北見市では7月24日、同市内では観測史上最高気温となる39度を記録し、帯広市でも同市内の最高気温と並ぶ38.8度を観測した。道内4地方で熱中症警戒アラートが出され、7月の平均気温は平年を4.8度上回った。
 道によると、5~7月末までに熱中症の疑いで救急搬送された人は2066人(速報値)に上り、前年同期の951人に比べ倍増した。
 猛暑は北海道の一大産業である酪農にも影響を及ぼしている。道東の十勝地方で酪農業を営む男性によると、乳用種として肥育されるホルスタインは暑さに弱く、舌を出して寝転んだまま動かない「夏バテ」状態が多く見られた。
 牛舎の暑さ対策としては、換気設備や大型扇風機の設置があるが追い付いておらず、搾乳量は平年比10%以上落ち込んでいる。男性は「大きな打撃となっている」と不安をのぞかせた。
 北見市はこれまで、約2年かけて市内の公立小中36校の普通教室に冷房を完備。今年からは市内13カ所でクーリングシェルターの開放を始めた。一般家庭や既存の公共施設にはいまだに冷房が設置されていないことも多く、シェルターの利用で市民に熱中症を防いでもらう狙いだ。
 道によると、現在、道内179市町村のうち73市町村が573カ所にクーリングシェルターを開放。大手スーパーと協定を結び、道内にある140店舗をシェルターとして活用するよう自治体に呼び掛けている。道の担当者は「8月も例年以上の猛暑が見込まれる。涼しい場所で過ごし、小まめに水分や塩分を補給することで、熱中症を予防してほしい」と呼び掛けている。 
〔写真説明〕保健センターに設置されたクーリングシェルター=7月24日、北海道北見市(市役所提供)

(ニュース提供元:時事通信社)