【ジュネーブ時事】スイス・ジュネーブで開かれていたプラスチック汚染を防ぐ国際条約の策定に向けた政府間交渉委員会は、会期が延長された15日、合意の見送りを決めて閉幕した。バジャス議長は同日、条文の最終案を公表。議長は「着地点を見いだすための基礎」としたい考えだったが、各国の理解は得られなかった。交渉は今後も続くが、今会合でも目立った成果はなく、不透明感が漂っている。
 5日に始まった交渉は、合意に失敗した昨年11~12月の会合を再開させたもの。生産段階の規制を求める欧州や島しょ国と、廃棄物の適正管理で十分とする産油国が対立する構図は変わらず、条文の策定作業が停滞。議長は独自案を提示して打開を図った。
 最終案は、焦点だった使い捨て製品やプラスチックに添加される化学物質の規制を各国の判断に委ねる内容で、世界全体での削減目標には触れていない。「たたき台として受け入れられない」と各国が突っぱねた13日の議長案から改善を図ったが、意見が対立していることを示すカッコ書きの箇所も多数あり妥結にはつながらなかった。
 閉幕の会合では、最終案への不満が漏れた一方、再交渉への期待を示す声も相次いだ。国連環境計画(UNEP)のアンダーセン事務局長は「決して立ち止まることはない」と強調。意見対立の橋渡し役を担った日本政府関係者も「次につながるヒントや着地点はある程度見えてきた」と意欲を示した。 
〔写真説明〕プラスチック汚染を防ぐ国際条約の策定に向けた会合で開会を宣言するバジャス議長=14日、スイス・ジュネーブ(AFP時事)
〔写真説明〕プラスチック汚染を防ぐ国際条約の策定に向けた会合=15日、スイス・ジュネーブ

(ニュース提供元:時事通信社)