2025/08/17
防災・危機管理ニュース
【カイロ時事】イスラエルのイスラム組織ハマスに対する掃討作戦が続くパレスチナ自治区ガザで食料危機が一段と悪化している。飢餓の拡大を憂慮する国際社会はイスラエルに支援拡大に向けた措置を取るよう求めるが、状況が改善されるかは不透明だ。
◇汚水で空腹紛らわす
「われわれ全員に死んでほしいのだろう」。中部デイルバラで避難生活を送るユセフ・ムハンマドさん(35)は、時事通信の電話取材に対し、声を絞り出すように語った。2日間で食事は一度、レンズ豆のスープだけ。蚊の幼虫ボウフラが湧く汚水で空腹を紛らわす。腎臓の持病が悪化して高熱が続くが、医薬品もない。
イスラエルと米国が主導する「ガザ人道財団(GHF)」は、ガザの数カ所で支援物資を配給しているが、常に住民が殺到。食料を得るには住民同士の争奪戦を制する必要もある。厳重に警備された配給所周辺で混乱が広がる中、人々が銃撃により死傷するケースが相次ぐ。体力が落ちたムハンマドさんは「行くのをやめた」。
一方、国連などの配給所は機能していない。警備が手薄で略奪が常態化しているためだ。略奪者の「利益」が上乗せされた盗品は市場に流れるが、貧しく弱い人々には「あまりに高額すぎる」(ムハンマドさん)という。
◇略奪覚悟で物資搬入を
食料不足は確実に深刻化している。ガザ保健当局によれば、2023年10月の軍事作戦開始後に栄養失調で死亡した251人のうち、186人が今年7月以降に集中している。各国によるガザ上空からの物資投下が始まったが、危機は全く解消されていない。
日本や英国など26カ国と欧州連合(EU)の外相は今月12日、「想像を絶する」ガザの人道状況に対処するため、国連や国際NGOによる支援拡大を可能にする措置をイスラエルに求めた。
イスラエルはハマスが体制維持のために物資を横取りしていると一方的に主張し、食料供給を制限してきた。その結果、食料不足が進み、ハマスと無関係の略奪も横行しているとみられる。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は「世界のどの紛争地でも、物が不足すれば略奪は起きる」と指摘する。現状ではむしろ、盗まれるリスクがあっても物資を供給し続け、略奪の誘因を低減させることが重要だと強調。「今、大量の食料をガザに入れなければ、皆どんどん弱っていく」と強い危機感を示した。
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市で7月、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の診療所を受診した生後7カ月の乳児(UNRWA提供・時事)
〔写真説明〕オンライン取材に応じる国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長=14日
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/17
-
-
-
-
-
今年の夏は大規模停電のリスク大?
今年の夏、東京電力管内を中心に電力不足が懸念されています。需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が1パーセントを切る見通しで、もしそこで突発的な発電所の事故や故障が起きれば予備率はさらに低下、マイナスに陥りかねません。大規模停電のリスクについて、東京電機大学名誉教授の加藤政一氏に聞きました。
2026/02/12
-
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方