2015/04/08
防災・危機管理ニュース
~サーベイリサーチセンター自主調査~
株式会社サーベイリサーチセンターは、東京大学総合防災情報研究センターの監修で、「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害に関する調査」を実施、概要を発表した。それによると、土砂災害発生以前に土砂災害の危険性を感じていた人は2割強しかいないことがわかった。
■調査の背景
平成26年8月に起きた広島市の土砂災害は、気象観測上類を見ない「突然の豪雨」により、多くの人的・物的被害が発生した事象。
本調査は、被災した地域を含む安佐北区、安佐南区を調査対象地域として、土砂災害発生当時の状況、情報の認知状況、避難や安全確保行動の実態の把握。今後、土砂災害が発生した場合に被害を軽減するための教訓を探ることを目的として実施した。
平成26年12月5日~9日、20歳以上の男女個人を対象にインターネット調査を実施。有効回答は400サンプルだった。
■主な調査結果の概要
・土砂災害発生以前、地域での土砂災害の危険性について、21.3%の人しか危険性を感じていなかった。
・一方で、「雨の強さが異常だった」(87.0%)、「雷がひどかった」(78.3%)と。多くの人が気象状況の異常を感じていた。
・避難や安全確保のきっかけとして、災害警戒情報よりも自身が感じる「雨の強さ」(80.8%)、「降る量」(74.4%)が異常だったことを上げる人が多かった。
・避難をしなかった理由は「大丈夫だと思ったから」(54.6%)、「特に危険だと思わなかったから」(36.7%)が多かった。
・情報を得た媒体は「テレビ」が74.5%で最も高い。
・登録型防災情報メールサービスからの情報入手率も高い。しかし、避難には結び付いていない。
・土砂災害発生時の広島市や気象庁などからの情報は4割台半ばが「見聞きした」。
・土砂災害の被害を減らすためには、「土砂災害の危険性のある場所は宅地開発をしない」とのハード面の意見が51.0%。一方で、「ハザードマップ等で危険な場所を公表する」(65.0%)、「土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域の指定」(43.5%)など、ソフト面の施策を求める声も多かった。

調査結果の概要(サーベイリサーチセンター)
http://www.atpress.ne.jp/releases/59869/att_59869_1.pdf
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方