内閣府は20日、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表された際、1週間の事前避難が必要となる人数が全国で少なくとも52万人に上るとの初めての調査結果を発表した。事前避難者だけで、東京電力福島第1原発事故を含めて約47万人が避難した東日本大震災を上回る見込みとなった。
 南海トラフでは、地震発生から数分で津波が到達する地点もある。このため国は市町村に対し、避難が間に合わない可能性がある地域を「事前避難対象地域」に指定するよう要請。全住民が避難対象となる地域と、避難に時間がかかる高齢者など要配慮者が対象となる地域の2種類がある。
 調査は6~8月にかけて、国が南海トラフ地震の「防災対策推進地域」に指定している29都府県707市町村(5月時点)を対象に実施。事前避難対象地域の指定状況を調べた。
 その結果、千葉県から鹿児島県の16都県130市町村が指定していた。指定地域内の事前避難対象者は52万人超で、内訳は全住民対象が約24万5600人、要配慮者対象が約27万4800人。事前避難対象者が最も多いのは高知県の約9万2100人で、宮崎県約7万9900人、静岡県約7万200人と続いた。
 一方、2種類の事前避難対象地域いずれも「検討中または未検討のため指定していない」と答えたのは195市町村だった。内閣府は、未指定の市町村には検討を急ぐよう働き掛ける方針だ。
 臨時情報は2019年から運用を開始。事前避難が必要となる「巨大地震警戒」と、避難までは求めない「巨大地震注意」がある。昨年8月に臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表されたが、認知度が低く、一部では海水浴場の閉鎖や宿泊施設のキャンセル発生などの混乱が見られた。 
〔写真説明〕東日本大震災で体育館に避難した人たち=2011年3月12日、茨城県大洗町(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)