2025/09/03
防災・危機管理ニュース
東京商工会議所は、BCPの策定率などに関して会員企業を対象に実施した「会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート」の今年の調査結果をまとめ、発表した。
調査は会議所と東京都が2014年に締結した「東京の防災力向上のための連携協力に関する協定」の一環として毎年実施している。今年は5月に行い、会員企業1万8252件のうち1352件がメールなどで回答した(回答率7.4%)。調査結果によると、BCP策定率は39.5%で、前年比で4.3ポイント上昇、初回調査の2014年の19.1%から上昇傾向を続けている。ただ、大企業が63.0%なのに対し、中小企業は28.0%にとどまっている。

BCP策定の課題としては、「人員に余裕がない」(58.0%)、「時間に余裕がない」(52.8%)、「具体的な対策方法が分からない」(44.2%)の割合が高かった。
また、BCP策定済みの企業、BCPや防災計画が未策定企業とも、「備えが必要だと感じるリスク」は「地震」が最も多く、いずれも9割を超えた。次いで、「感染症」、「情報セキュリティ」となった。一方、従業員向けに3日分以上の飲料水、食料を備蓄している割合は大企業が6割を超えるのに比べて、中小企業は4割ほどという結果だった。

調査ではこのほか、行政に望む災害やリスク対策なども尋ねていて、「防災・交通施設等インフラの強化・老朽化対策」が最多の55.9%だった。会議所によると、地中にあって目視できない上下水道、ガス管などや、橋梁、高速道路、トンネルなどのインフラに不安を感じる声が複数挙げられたという。また、大規模風水害が見込まれる際の情報提供に関しては、「被害・復旧の見通しや公共交通機関・主要駅の情報提供してほしい」が78.5%と最多だったほか、「空振りでもいいから」という回答も66.4%と続く結果となった。
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