2025/09/04
防災・危機管理ニュース
来年7月に障害者の法定雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられることに伴い、民間企業の障害者採用は難しさを増している。健常者を含めて「売り手市場」の中、採用には個々の特性を踏まえた丁寧な選考が必要。採用後の定着も課題で、「働き方」の工夫やIT支援ツールの導入などで働きやすい環境の整備に取り組む。
キリンホールディングスは、春の新卒採用枠で障害者に、総合職と転勤がない「エリア限定職」の二つの選択肢を用意する。担当者は「学生数も限られる中、法定雇用率の引き上げで採用の難易度は年々上がっている」と指摘。音声読み上げソフトなどの支援ツールの活用に加え、障害に関する冊子を職場で配布して、障害者と健常者が共に働ける環境づくりに努める。
「1店舗1人以上の雇用」を掲げるファーストリテイリングの障害者雇用率は4.91%と高水準。国内外のユニクロやGU店舗で約1500人が働く。これまで店舗裏での作業に従事することが多かったが、作業の効率化に伴い、障害があることを客に示す「サポートカード」を身に着けて売り場でも活躍する場面が増えた。
東京都内のユニクロ店舗で働く笹岡龍斗さん(25)は、聴覚障害のためスマホのメモ機能などを駆使して接客もする。「言葉を伝えるのは難しいが、接客は好き」と笑顔で語った。
野村ホールディングスでは、傘下の特例子会社野村かがやき(東京)にグループ全体の3割程度となる120人が就職し、郵送物の仕分けや研修会場の設営などに従事している。入社後すぐに有給休暇や通院休暇の権利を付与し、毎月面談を行うなどきめ細かくサポート。就労継続が難しいとされる精神障害を持つ社員が9割を占めるが、定着率は8割に上る。
以前は一般採用枠で職を転々としてきたという勤続6年の男性社員(38)は「給与は下がったが、負担やつらさが軽減され、長く続けられている」と話す。特例子会社は年内に都内に新たな拠点を開設し、採用を拡大する方針だ。
厚生労働省の最新集計で、民間企業の実雇用率は2.4%。障害者雇用に詳しい法政大学の真保智子教授は「急速な採用活発化で雇用の質やミスマッチに懸念が残る」と指摘。「障害の状況や仕事が適しているか本人と話し合い、常に調整していくことが必要だ」と話している。
〔写真説明〕ユニクロで品出しを行う笹岡龍斗さん。スマホのメモ機能を使って接客も行う=8月14日、東京都江東区
〔写真説明〕研修会場の設営業務に従事する野村かがやきの社員ら=7月17日、東京都千代田区
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/02
-
-
-
失われた危機意識を取り戻す災害図上訓練で自分ごと化 ミツバ
どのメーカー系列にも属さず、複数の自動車メーカーや1次サプライヤーに四輪と二輪用の電装部品を供給する独立系のサプライヤーであるミツバ(群馬県桐生市、日野貞実代表取締役社長)。近年、過去に考えられた災害対策が、途絶えつつあった。同社では“自分ごと化”で従業員の危機意識を高めるため、災害図上訓練を実施。参加者の意欲が高まり、対策用の新たな要望が集まるなど、確実な手応えを感じている。
2026/05/26
-
-
-
-
-
顧客の安全と安心をAIと人のアシスタンスサービスで追求
JTBグローバルアシスタンス(東京都千代田区)は、渡航先でのけがや荷物の紛失、言語の壁など、海外旅行に関わるトラブルを包括的にサポートしてきた。昨今では地政学リスクの高まりに応じ、自社の危機管理ソリューションを生かした出張者や駐在員の安全確保にも注力している。創業35年を機に、AIと人間、それぞれの長所を組み合わせたハイブリッド型サービスの展開を目指す。混沌(こんとん)とした時代の中、海外旅行に伴うリスクを低下させ、旅行者の安全をどのように確保するのか。鈴木章敬代表取締役社長に話を聞いた。
2026/05/19
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方