「理念ギャップ」を招く最大の問題構造
第95回:嘘と真実を語る失言(7)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2025/09/16
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回、経営の上位方針やオープンにした各種ガイドラインと現場の活動にギャップが生じる要因について、主として現場レベルの長文読解能力の劣化を語った。今回は、それよりも上位層における要因に主眼を置いて語りたい。
この上位層というのは、企業によって異なるが、いわゆる管理職層や幹部層であり、時には監督職層かもしれない。この上位層に巣くう問題構造は、現場レベルに悪影響を及ぼすことは必然であり、現実的に最大の問題構造といっても言い過ぎではないだろう。
この問題構造は、実は古くから指摘されている。サラリーマン気質や事なかれ主義、減点主義と表現されるものである。そこに最近の傾向であるハラスメント忌避思考が圧力的に加わり、萎縮に拍車がかかっているのではないだろうか。
どの企業でも共通することだが、経営が発信するメッセージや指針の類は、現場に完全に浸透しているわけではない。もし完全に浸透しているなら、あえて発信する必要もない。
したがってメッセージや指針は目指すべき方向性として示される姿であり、大なり小なり現場とのギャップが存在する。そのギャップを埋めていくプロセスが各部門の部門方針に組み込まれ、KPIとして目標管理されながら、PDCAをまわすかたちでマネジメントされるのである。
しかし実際には、このギャップを埋めることを目的とせず、いや、ギャップを知っていながら見て見ぬ振りをして、現場が無理なく受け入れる範囲で、悪く表現すると言い訳できる範囲に限定して部門目標を設定してしまいがちだ。結果として、経営の目指す方向に向かうことはなくなってしまう。これでは全体最適どころか部分最適すら成立せず、組織として価値を生み出すことなく、極論すると存在自体がロスとなる危険性すらあるだろう。
極論過ぎるといわれるかもしれないが、冷静に俯瞰して見て、違うというなら論理的な説明を組み立ててみてほしい。その段階で、感情論の「でも」「そうはいっても」「ではどうすればよい』となってはいないだろうか。感情論に陥る時点で、極論ではないと断言できる。
では、なぜこのような構造に陥るのだろうか。簡単である。現場の活動とギャップが存在するということは、そのハードルを乗り越える際に、必ずハレーションが起きるからである。
ギャップが大きければ大きいほど、ハレーションも大きくなる。このハレーションは減点主義では大きなマイナス要因になり得るため、成果を挙げているにもかかわらずマイナスになると考え、君子危うきに近寄らず、火中の栗を拾う人物が現れないのだ。
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